【経営者・営業責任者向け】製造業の営業戦略の立て方|価格勝負から抜け出す6ステップ

「技術力には自信があるのに、最後は相見積もりの価格で負けてしまう」
「既存の取引先からの引き合いに頼りきりで、新規開拓の進め方が分からない」
「受注できるかどうかが、一部のベテラン営業の経験に左右されている」

こうした悩みを抱える製造業の経営者や営業責任者の方は少なくありません。製造業の営業戦略とは、自社の技術を顧客が買う理由に置き換えたうえで、狙う顧客と売り方を決める方針のことです。価格勝負に陥るのは技術が劣っているからではなく、その技術で顧客の不良率や納期がどう変わるのかを伝えきれていないことに原因があります。

そこで本記事では、累計400社以上の営業支援を手がけてきたCLF PARTNERSの独自メソッド「QDRモデル」も使いながら、製造業が抱える営業戦略の課題と、価格勝負から抜け出すための立て方6ステップを解説します。あわせて、新規開拓に向いている営業手法や、戦略を成果につなげるポイントも紹介します。

CLF PARTNERSは累計400社以上、3,000人以上の営業パーソンを支援し、6カ月以内の成果にコミットしてきました。本記事でも、案件の停滞箇所を可視化して売上前年比120%を達成した産業用機器メーカーなど、製造業2社の支援事例を紹介しています。
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この記事はこんな方におすすめです

  • 営業戦略を立てた経験がなく、何から手をつけるべきか迷っている経営者の方
  • 技術を顧客への提案に変えられる営業組織をつくりたい営業責任者の方
  • 新規開拓の手法を比べ、自社に合うものを選びたい方
  • 製造業で成果が出た営業支援の事例を知りたい方

製造業が抱える営業戦略の課題とは?

製造業の営業戦略が抱える課題は、製品価値の伝え方、人材の確保、生産能力の制約、部門間の対立の4つです。いずれも技術力や製品の優位性だけでは解決できず、営業の進め方そのものを見直す必要があります。

製品の価値が伝わりづらい

製造業における最大の営業課題は、「製品の価値が顧客に十分に伝わらない」ことです。製造業の製品は複雑かつ専門的であり、その真の価値や優位性を一般的な言葉でわかりやすく伝えることが難しいためです。

例えば、ある部品の耐久性が向上しても、それが顧客の事業にどういった具体的なメリットをもたらすのかを明確に説明できなければ、顧客の関心を引くことはできません。

実際、キャククルの調査によれば、54.9%の回答者が「条件に合う商品が見つけづらい」と答えています。これは、製品の価値が適切に伝わっていない現状を示していると考えられます。価値が伝わらないままでは、顧客は仕様と価格だけで比較するようになり、技術力があっても価格勝負に巻き込まれてしまいます。

参考:キャククル|【製造業調査】約7割が情報収集段階で本命導入商品を決める。機械製造業の現場担当104名から調査。

人材の確保が困難

製造業の営業で人材が課題になるのは、技術と営業の両方を担える人材が足りないことにあります。この問題は、単に営業スキルを持つ人材を見つけるだけでは解決しません。製造業の営業には、高度な営業スキルに加え、自社製品の技術的な理解や技術的観点での問題解決能力も必要不可欠だからです。

製造業で必要な技術と営業スキル

厚生労働省の調査によれば、製造業の中小企業の46.6%が「若年ものづくり人材の確保が困難」と回答しています。これは、技術と営業の両面で高い能力を持つ人材が市場で不足していることを示しています。

例えば、工作機械メーカーの営業担当者は、顧客の生産ラインの課題を理解し、自社製品の技術的な特長を正確に説明する必要があります。このような複合的スキルを持つ人材を見つけ、育成することは決して容易ではありません。

したがって、製造業の営業戦略を成功させるためには、技術と営業の両方のスキルを兼ね備えた人材の確保と育成が欠かせません。

参考:厚生労働省 職業能力開発局|ものづくり基盤技術の振興施策「概要」

受注産業の場合限界値がある

受注産業の限界とは、設備や人員の生産能力に上限があるため、営業が受注を増やしても引き受けられる量に天井があることです。

実際に、ある自動車部品メーカーが繁忙期に受注が急増し、生産設備がフル稼働した結果、新規顧客からの魅力的な案件を断らざるを得ない状況に追い込まれました。このような事態は、短期的な機会損失にとどまらず、長期的な顧客関係の構築にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

さらに、特定の取引先からの受注に生産能力の大半を割いている企業ほど、新しい顧客を受け入れる余地がなくなり、新規開拓が進みません。

工場や生産管理部門など他部署との対立

営業部門と工場・生産管理部門が対立するのは、両者の目標や優先事項が一致していないことが原因です。営業部門は市場の変化に柔軟に対応したいと考える一方で、生産部門は安定した生産計画に基づいて効率的に運営したいと考えています。

例えば、大口顧客から急な増産要請があった場合、営業がそれに応じると、生産部門は人員配置や原材料調達の変更を余儀なくされ、計画的な生産体制が崩れてしまいます。

対立が続くと、営業は生産側に遠慮して受注を取りにいけなくなり、生産側は無理な計画に追われるという悪循環に陥ります。

製造業の営業戦略の立て方

製造業の営業戦略は、営業目標の設定から施策の決定までの6つのステップで立てます。なかでも製造業で欠かせないのが、自社の技術やスペックを顧客のメリットに翻訳する5つ目のステップです。前のステップの精度が次のステップの精度を左右するため、①から順に進めてください。

①営業目標を設定

製造業の営業戦略を成功させるためには、最初のステップとして明確な営業目標の設定が重要です。単に数値を設定するだけでなく、企業全体のビジョンや方針と整合させた戦略的なプロセスです。効果的な営業目標設定のポイントは以下の通りとなります。

営業目標設定のポイント詳細
定量的指標の使用売上高、利益率、新規顧客獲得数など、具体的な数値を基に評価できる目標を設定
経営目標との整合性営業目標と企業全体の長期的なビジョンや経営方針と一致させる
具体性と測定可能性目標は明確で、達成度を客観的に評価できるように設定
時間軸の設定短期、中期、長期の目標をバランスよく設け、各フェーズに応じた戦略を立てる

ポイントを加味した営業目標の設定例は、以下の通りです。

  • 短期目標:四半期ごとの受注件数を10%増加
  • 中期目標:2年以内に新規顧客シェアを15%拡大
  • 長期目標:5年後までに海外売上比率を30%達成

このように、明確で測定可能な目標を設定することで、営業チームは明確な指針を持ち、戦略の立案と実行が円滑になります。また、定期的に進捗を確認し、柔軟に戦略を調整することで、市場の変化にも迅速に対応できます。

 ②市場・自社・製品についての理解を深める

製造業における効果的な営業戦略を立てるためには、市場、自社、製品に関する深い理解が欠かせません。このプロセスでは、以下の3つの分析が重要です。

まず、市場分析では、業界動向や競合他社の状況を把握します。次に、自社分析を通じて、独自の技術力や生産能力など、自社の強みを明確にしましょう。そして、製品分析では、自社製品の特徴や競争優位性を詳しく検討します。

これらの分析により、以下のような具体的な情報が得られます。

項目具体例
市場自動化需要の増加
自社高精度加工技術
製品省エネ性能がトップクラス

この段階で得られた情報は、営業担当者の製品知識を深め、顧客との会話の質を向上させます。ここで洗い出した自社の強みが、⑤で顧客のメリットに翻訳する際の材料になります。

③ターゲットを定める

ターゲットは、市場・自社・製品の分析結果をもとに、自社の強みが最も生きる顧客層に絞り込みます。ターゲット設定の際には、次の要素を考慮しましょう。

  • 業種・業界
  • 企業規模
  • 地理的位置
  • 技術ニーズ

例えば、高精度加工技術を持つ中小製造業の場合、以下のようなターゲット設定が考えられます。

ターゲット属性具体例
主要業界自動車部品メーカー
企業規模年商10億円以上
地域東海地方
技術ニーズ高精度・小ロット生産

このようにターゲットを明確にすることで、限られた営業リソースを効果的に活用できます。また、ターゲットに合わせて営業アプローチや提案内容をカスタマイズすることで、受注確率の向上が期待できるでしょう。

さらに、製造業特有の長期的な取引関係を踏まえ、将来的な成長が見込まれる企業をターゲットに含めることも重要です。このように、戦略的なターゲット設定により、持続可能な営業活動の基盤が構築できます。

④顧客理解を深める

顧客理解とは、ターゲット顧客が抱える具体的な課題やニーズ、購買行動を把握することです。効果的な顧客理解を得るためには、次の方法を組み合わせることが重要です。

方法得られる情報活用方法
直接対話具体的な課題、ニーズカスタマイズ提案の基礎
アンケート調査定量的なデータ、傾向製品開発への反映
業界レポート分析市場動向、競合情報中長期戦略の立案
社内データ活用過去の取引履歴、顧客特性効率的な営業活動の計画

特におすすめの進め方は、社内データの活用と直接対話です。まずは、これまでの商談記録を活用して顧客像の仮説を作り、その後、見込み顧客へインタビューを実施することが重要です。

これを早期に行い、PDCAサイクルを回すことで効果的な提案が可能になります。アンケートやレポートにはそれぞれの利点がありますが、具体的な顧客課題は直接対話を通じて明確に見えてくるでしょう。このアプローチにより、より正確な顧客ニーズを把握し、効果的な提案を行うことができます。

⑤自社の技術・スペックを顧客のメリットに翻訳する

製造業の営業戦略で最も重要なのは、自社の技術やスペックを、顧客の業務や数字がどう変わるかに翻訳することです。

製造業は技術への自負が強いぶん、営業資料も商談も、設備や加工精度のアピールに向きがちです。しかし、顧客が対価を払う対象はスペックそのものではありません。そのスペックによって不良率が下がる、納期が縮まるといった変化にお金を払っています。

翻訳されないまま提案すれば、顧客は仕様と価格を並べて比べるしかなく、最後は価格勝負に陥ります。技術やスペックを顧客のメリットに翻訳すると、次のようになります。

自社の技術・スペック顧客のメリット
高い加工精度組立後の調整工程が減る
短納期対応部品在庫を減らせる
小ロット対応試作から量産への切り替えが早まる
一貫生産体制発注先を集約でき、管理工数が減る
高い耐久性交換頻度が下がり、保守費用が減る

翻訳するときは、スペックを1つ挙げたうえで、次の3つを順に問い直してください。

  • それによって、顧客の現場で何が変わるのか
  • その変化は、顧客のどの数字に表れるのか
  • その数字を気にしているのは、顧客の社内の誰か

3つ目まで答えられれば、誰に何を伝えるべきかが定まります。たとえば「組立後の調整工程が減る」という変化は、生産技術部門には工数の削減として、経営層には人件費の削減として伝えると響きます。

翻訳した内容は、営業資料・提案書・Webサイトにそろえて反映してください。担当者ごとに伝え方がばらつかず、誰が商談しても技術の価値が同じ水準で伝わる状態をつくれます。

失注した案件のお客様に理由を伺うと、「性能はどこも同じに見えた」と言われることが少なくないんです。実際には性能差があっても、それが自社の何に効くのかが伝わっていなければ、お客様には差として見えません。受注できた案件を振り返ると、決め手は「この精度なら検査工程を一つ減らせる」といった一言だったりします。スペックをお客様の言葉に置き換えるところまでが、営業の仕事です。

ただし、自社の技術を知り尽くした社内のメンバーだけで、顧客目線に翻訳するのは簡単ではありません。どう言い換えれば伝わるのか迷ったときは、一度外部の視点を入れて整理してみるのも一つの方法です。 CLF PARTNERSでは、製造業の技術や製品の強みを、顧客が買う理由に置き換える営業支援を行っています。 
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⑥活動指針・施策を決定

活動指針・施策の決定とは、これまでの分析をもとに、どの施策を、いつ、どの指標で実行するかを決めることです。効果的な活動指針と施策を決定するためには、以下のような表を作成し、優先順位をつけて実行するとよいでしょう。

施策目的KPI実施時期
展示会出展新規顧客獲得名刺獲得数○○件、商談化率○○%四半期ごと
技術セミナー開催既存顧客の深耕参加数○○件、商談化率○○%月1回
Web広告展開認知度向上リード○○件獲得通年
顧客訪問強化信頼関係構築顧客訪問回数月○回/人通年

このように、具体的な施策を設定することで、営業チーム全体の方針が明確になり、効率的な活動が可能になります。また、各施策にKPIを設けることで、進捗の管理や効果測定が容易になります。

さらに、製造業特有の長期的な取引関係を考慮し、短期的な成果だけでなく、顧客との信頼関係の構築や技術力のアピールなど、中長期的な視点を取り入れることも非常に重要です。

製造業の新規開拓に向いている営業手法6選

製造業の新規開拓に向いている営業手法は、コンテンツの改善、テレアポ、紹介営業、展示会、オープン調達、DMの6つです。手法ごとに向いている製造業が異なるため、自社の製品特性やターゲットに合わせて組み合わせることで、特定の取引先への依存を減らせます。

コンテンツの改善(Webサイトや営業資料の見直し)

コンテンツの改善は、Webサイトからの問い合わせや営業資料への反応が弱い製造業に向いている手法です。特にWebサイトや営業資料の見直しは、効果的な顧客獲得の基盤となります。

自社製品の価値やターゲットに合わせてコンテンツを最適化することで、潜在顧客への訴求力が大幅に向上するからです。逆に、訴求ポイントがずれたコンテンツは、マーケティング投資を無駄にする「穴の空いたバケツ」のような状態を引き起こします。

どれだけ営業活動に力を注いでも、基盤となるコンテンツが適切でなければ、時間と費用の浪費になりかねません。そのため、コンテンツの定期的な見直しと改善は、製造業の新規開拓戦略において最優先で取り組むべき重要な施策であると言えるでしょう。

テレアポ

テレアポは、狙うターゲット企業が明確で、短期間で多くの企業と接点を持ちたい製造業に向いている手法です。テレアポの成功確率は概ね1%未満から10%程度、新規顧客への完全な初回アプローチの場合は0.1%から1%程度と言われています。

ただし、オペレーターのトーク力や取り扱う商材により結果は大きく異なります。法人向けの場合、1日の目安は約60件で、これは営業時間の制約やトーク時間が長くなる傾向があるためです。

製造業特有の複雑な製品や技術を簡潔に説明し、相手の興味を引き出せるのがテレアポの強みです。しかし、テレアポは単なる電話営業ではありません。技術的な質問に即座に対応できる体制や、フォローアップの仕組みが不可欠です。

さらに、テレアポ後の訪問や資料送付といった次のステップを明確にすることで、成約率をより高めることが可能です。

紹介営業

紹介営業は、既存顧客との信頼関係が厚く、品質や実績で評価されてきた製造業に向いている手法です。既存顧客や取引先からの信頼を基に新たな顧客を獲得できるため、成約率が高い点が特徴です。

特に製造業では、製品の品質や信頼性が重視されるため、信頼できる相手からの紹介は強い影響力を持ちます。また、紹介を受けた顧客は、自社の製品や技術に対して一定の理解があることが多いため、商談がスムーズに進みやすいというメリットもあります。

紹介営業を成功させるためには、既存顧客との関係を強化し、紹介プログラムを構築することが重要です。また、紹介された顧客には、紹介者の信頼を裏切らないよう、特に丁寧な対応を心がけることが求められます。

展示会

展示会は、実物を見せることで価値が伝わる製品や、技術的な質問が多い製品を扱う製造業に向いている手法です。また、業界全体の動向を把握し、競合他社の情報を収集できることも大きなメリットです。具体的な成果としては、一般的にリード獲得数は来場者数の5〜10%、そのうち商談化するのは1〜5%程度と言われています。

例えば、来場者が1000人の展示会では、50〜100件のリードが獲得でき、その中から1〜5件の具体的な商談に発展する可能性があります。ただし、展示会の成功には綿密な準備が欠かせません。魅力的なブース設計や効果的なプレゼンテーション、フォローアップ戦略の策定などが重要なポイントとなります。

オープン調達

オープン調達は、大手企業が求める部材や加工技術を提供できる製造業に向いている手法です。この方法は、大手企業を中心に多くの企業が採用しており、必要とする部材や技術をWeb上で公開し、幅広く提案を募集しています。

オープン調達が有効な理由は、購買側のニーズが明確であり、直接アプローチできることです。さらに、従来の飛び込み営業やテレアポに比べて、効率的で成約率が高い点も大きな特徴です。

オープン調達

出典:日本ガイシ株式会社

オープン調達を活用するには、「資材調達」などのキーワードで企業のWebサイトを検索し、公開されている調達情報を確認します。そのうえで、自社の製品や技術に合った案件に対して、的確な提案を行うことが重要です。

DM(ダイレクトマーケティング)

DMは、決裁者に直接情報を届けたい製造業や、製品の詳細をじっくり読んでもらいたい製造業に向いている手法です。チラシ、手紙、FAX、問い合わせフォームなど、さまざまな形式を使って顧客に直接アプローチすることができます。DMが有効な理由は、ターゲットを絞り込んで情報を発信でき、コスト効率が良いことです。

各DMの特徴は以下の通りです。

DMの種類特徴
チラシ印刷代やデザイン費用がかかるためコストはかかるが開封率が高い
手紙個別対応で信頼感を高めやすい
FAXFAX利用が根強い製造業では有効な施策の一つ
問い合わせフォーム双方向のやり取りが可能で、データ管理が容易

このように、DMは製造業の新規開拓において、顧客に合ったアプローチを柔軟に選択できる手法です。適切な形式を選び、効果的な内容を作成することで、より高い成果を上げることが期待できます。

製造業の営業戦略を成功させるためのポイント

製造業の営業戦略を成功させるポイントは、DX化による営業効率の向上、営業と生産部門の判断基準の統一、営業個人の実行力の見直し、外部の専門家の活用の4つです。仕組みと社内の連携を整えたうえで営業個人の課題に手を打ち、自社だけで回しきれない部分は外部の力を借りると、戦略が現場で回り始めます。

DX化で営業効率を上げる

DX化を進めると、顧客情報の管理や商談の進め方が効率化され、限られた営業人員でも成果を出しやすくなります。独立行政法人 中小企業基盤整備機構の調査によると、71.9%の企業がDXの必要性を認識していますが、取り組み済みまたは検討中の企業は31.2%に留まっており、多くの企業にとってDX化は依然として課題となっています。

具体的には、DX化によって顧客データの一元管理やCRMシステムの導入が可能になり、顧客ニーズの把握や提案の質が向上します。

また、営業活動のオンライン化やデジタルツールの活用により、移動時間の削減や商談効率の向上も期待できるでしょう。このように、DX化は単なる業務効率化に留まらず、顧客との関係を強化し、新たな価値提案の機会を生み出す手段でもあります。
参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構|中小企業の DX 推進に関する調査(2023 年)

受注前に営業と生産部門で判断基準をそろえる

営業と生産部門の対立は、受注する前に同じ基準で案件を判断する仕組みをつくることで解消できます。

対立の背景には、評価軸の違いと、情報が届くタイミングのずれがあります。営業は売上で、生産は稼働率や生産効率で評価されるため、同じ案件でも見え方が正反対になります。加えて、生産側に案件の情報が届くのが受注後になっていると、無理な納期や急な増産として受け止められやすくなります。

判断基準をそろえるには、次の3つに取り組みます。

  • 受注するかどうかの基準(粗利、設備負荷、納期の余力)を、営業と生産で事前に合意する
  • 見込み段階の案件を月次の会議で生産側と共有し、繁忙期の受注量を調整する
  • 営業の評価に、売上だけでなく粗利や受注見込みの精度も加える

基準が事前に共有されていれば、営業は受けられない案件に時間を割かずに済み、生産は先の負荷を見ながら計画を立てられます。生産部門を営業戦略の制約ではなく、受注すべき案件を一緒に見極める相手として位置づけることが大切です。

見込み段階の案件を生産管理の担当者にも共有するよう勧めると、最初は営業側が「工場に口を出されたくない」と渋ることが多いんです。ところが続けてみると、工場側から「この形状なら工程を一つ減らせる」といった提案が出てくるようになります。生産部門は、巻き込むタイミングを早めるだけで、対立相手から提案の味方に変わります。

価格比較で負ける原因を「量・深さ・応答」で切り分ける

価格比較で負ける原因は製品力とは限らず、営業担当者の実行力のどこかが弱いケースが少なくありません。原因は、CLF PARTNERSが独自に整理したQDRモデルの「量・深さ・応答」の3軸で切り分けられます。

製造業の商談では、自社の技術や設備の説明に時間を使ううちに、顧客がなぜその仕様を求めているのか、放置すると何が起きるのかを掘り下げきれないまま提案に進みがちです。課題が浅いまま出した提案は、他社の見積もりと横並びになり、仕様と価格でしか比べられなくなります。

一方で、掘り下げる力だけを鍛えても、顧客との接点の数や反応への対応が足りなければ、受注には届きません。QDRモデルの3軸を製造業の商談に置き換えると、次のようになります。

軸意味製造業の商談での例
Q(量)案件を前に進める有効行動量見積提出後のフォローや失注理由の回収まで行う
D(深さ)顧客の課題を掘り下げる深さ仕様の背景、不良や遅延の原因、放置した場合の損失まで聞く
R(応答)反応を次の行動に移す実行力試作評価の結果や懸念に、期限を決めて改善案を返す

3軸は足し算ではなく掛け算で効くため、1つでも弱いと他の強みが成果に変わりません。まずは自社の営業がどの軸で止まっているかを把握し、最も弱い軸から手をつけてください。

QDRモデルは、CLF PARTNERSが2021年から2026年にかけて約35社・935名の営業活動を観察して整理したフレームです。自社の営業の現在地は、営業戦闘力診断で確認できます。

外部に営業コンサルへ依頼

製造業の営業戦略を成功させるためには、外部の営業コンサルタントへの依頼が有効です。専門的な知見と客観的な視点を活用することで、自社の営業課題を明確化し、効果的な解決策を見出すことができるからです。

外部コンサルタントは、業界トレンドや先進的な営業手法に関する豊富な知識を持っているため、自社だけでは気づきにくい改善点を指摘し、具体的な解決策を提案できます。

さらに、社内の既存の枠組みにとらわれない斬新なアイデアを導入することで、営業戦略に新たな視点をもたらすことができます。製造業の営業戦略を成功に導くためには、外部の専門家の知見を積極的に活用することが重要です。

CLF PARTNERSも、製造業を含む累計400社以上の支援実績をもとに、営業戦略の立案から現場での実行まで伴走しています。
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製造業の営業戦略の成功事例|CLF PARTNERSの支援事例

製造業の営業戦略で成果を出した例として、CLF PARTNERSが支援した製造業2社を紹介します。いずれも、本記事の前半で挙げた製造業特有の課題を、営業の進め方と仕組みの見直しによって解決したケースです。

医療機器メーカー:製品説明を顧客課題起点の提案に変え、受注率が10%から20%へ

製品説明が中心だった営業を、顧客の課題を聞いてから提案する流れに変えたことで、主要製品の受注率が2倍になった事例です。

項目内容
業種・規模医療機器メーカー(従業員300名)
課題現場ニーズと提案のずれ、受注率の低迷
施策ヒアリング手法の強化、提案書テンプレートの開発、営業チームへの研修
成果主要製品の受注率10%→20%、販売台数が前年比40%増

同社の営業担当者は製品知識が豊富だったものの、その性能が病院の業務をどう変えるのかまでは伝えられていませんでした。前半で挙げた「製品の価値が伝わりづらい」という課題そのものです。

転機になったのは、提案の起点を製品から医療現場の課題へ移したことでした。課題を聞き取ってから提案を組み立てる流れを全員でそろえたため、担当者による伝え方の差がなくなり、製品の価値が受注に結びつくようになっています。

産業用機器メーカー:案件の停滞箇所を可視化し、パイプライン2倍・売上前年比120%

担当者の力量に頼っていた営業を、案件の停滞箇所が見える仕組みに変え、売上を前年度比120%に伸ばした事例です。

項目内容
業種・規模産業用機器メーカー(従業員500名)
課題売上の伸び悩み、営業組織の硬直化、担当者ごとの成績のばらつき
施策営業プロセスの見直し、営業KPIの可視化、定例会議の見直し
成果年間売上が前年度比120%、パイプラインの案件数が2倍

同社では、成果が担当者の力量に左右されていました。前半の「人材の確保が困難」で触れたとおり、技術と営業を兼ね備えた人材は限られており、個人に頼るほど成果は安定しません。

ポイントは、結果の数字だけでなく、案件がどの段階で止まっているかをチーム全体で把握できるようにした点です。個人の力量に頼らず、仕組みによって組織全体の成果を底上げしたところに、この事例の特徴があります。
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製造業の営業戦略に関するよくある質問

製造業の営業戦略について、経営者や営業責任者の方から寄せられることの多い3つの質問に回答します。

製造業の営業で、開発・設計部門と接点を持つには?

購買部門から声がかかる前に、技術セミナーや試作相談の窓口を設けて、開発・設計部門と直接つながる接点をつくります。

仕様が固まってからでは比較の軸が価格と納期に絞られますが、設計段階から関われば価格以外で選ばれる余地が生まれます。既存の取引先なら、購買担当者に開発・設計の担当者を紹介してもらう方法も有効です。

製造業で、技術相談が一部のベテラン営業に集中するのを解消するには?

過去の引き合い・図面・提案内容を案件単位で記録し、ベテランでなくても答えられる状態をつくることで解消できます。

案件ごとに顧客の要望と対応可否の判断を残しておけば、若手も過去の事例をもとに回答できるようになります。判断に迷ったときの技術者への相談手順も決めておくと、ベテランへの依存を段階的に減らせるでしょう。

製造業の営業戦略を見直すと、成果が出るまでどれくらいかかる?

受注までは時間がかかるものの、商談数や試作依頼数などの先行指標は数カ月で変化が見え始めます。

試作や評価を経る製造業では、受注数だけで判断すると、効果が出る前に施策をやめてしまいかねません。見直しの効果は先行指標の推移で確かめてください。なお、CLF PARTNERSは6カ月以内の成果にコミットした支援を行っています。

まとめ|技術を「買う理由」に変え、製造業の営業戦略を成果につなげよう

製造業の営業戦略で成果を出すには、自社の技術やスペックを顧客が買う理由に翻訳し、狙う顧客と売り方を決めることが欠かせません。価格勝負に陥る原因は技術力の不足ではなく、技術の価値が顧客の言葉で伝わっていないことにあります。

本記事では、製造業が抱える4つの営業課題と、営業目標の設定から施策の決定までの6ステップ、新規開拓の手法、戦略を成功させるポイントを解説しました。特に重要なのは、技術を顧客の数字の変化に翻訳すること、受注前に営業と生産部門で判断基準をそろえること、価格で負けたときに営業個人の量・深さ・応答のどこが弱いかを切り分けることの3点です。

まずは自社の提案書や営業資料を開き、スペックの説明が顧客のメリットに置き換わっているかを確かめるところから始めてみてください。

CLF PARTNERSは、累計400社以上・3,000人以上の支援実績と6カ月以内の成果コミットで、製造業の営業戦略の立案から現場での実行までを支援しています。
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この記事の監修者

CLF PARTNERS株式会社
代表取締役社長 松下 和誉

大学卒業後、大手総合系コンサルティングファームに入社。最年少で営業マネジャーに就任。中小企業から大手企業まで幅広くコンサルティング業務を実施。また、文部科学省からの依頼を受け、再生機構と共に地方の学校再生業務にも従事。 その後、米Digital Equipment Corporation(現ヒューレットパッカード)の教育部門がスピンアウトした世界9ヵ国展開企業のJAPAN営業部長代行として国内の最高売上に貢献。 現在は関連会社12社の経営参画と支援を中心に、グループの軸となるCLF PARTNERS㈱ではVC出資ベンチャー企業、大企業の新規事業の支援に従事
公式Xアカウント:https://x.com/clf_km


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