営業戦略
「新規開拓のやり方がベテラン任せで、若手がなかなか育たない」
「アポは取れても、求人票の獲得や受注までつながらない」
「成果を出せるのは一部のトップ営業だけで、そのやり方は誰も説明できない」
こうした課題を抱える人材会社の営業責任者は少なくありません。新規営業が成果につながらないのは、勝ちパターンが個人の勘に依存し、組織の「型」や「仕組み」になっていないからです。
本記事の筆者は、前職で人材紹介事業の立て直しを任され、1年で売上を6倍に伸ばした実務家です。特別な手法ではなく、既存顧客・グループの営業網・株主企業との関係・過去の実績など「社内にすでにある資産」を、再現できる仕組みへ変えた結果でした。
本記事では、この実体験をもとに、新規営業の原因・準備・実践のコツから、AI活用、仕組み化・育成、売上6倍の4施策までを解説します。
CLF PARTNERSは、累計400社以上・3,000人以上の支援実績と6カ月以内の成果コミットで、貴社の新規営業を「個人技」から「組織で再現できる仕組み」へ変えます。
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この記事はこんな方におすすめです
- 新規開拓のノウハウがベテラン任せで、組織として再現できていない
- アポは取れても受注につながらず、若手営業がなかなか育たない
- 成果が一部のトップ営業に依存し、アポ獲得率が頭打ちになっている
- 人材の新規営業を体系的に見直したいが、何から手をつけるべきかわからない
なぜ人材の新規営業はうまくいかないのか?
人材の新規営業がうまくいかない原因は、担当者の努力不足ではなく「構造」と「属人化」にあります。市場で差別化しにくく、開拓スピードで競合に先を越され、勝ちパターンがトップ営業の勘に留まったままだからです。
したがって成果を底上げするには、うまくいかない3つの理由を分解し、組織で再現できる型へ落とし込む視点が欠かせません。
求人・求職者という商材で差別化できず、競合と同じ企業を奪い合っている
人材会社の商材は、求人票も求職者プールも他社と共有されやすく、差別化できません。求人企業は複数社へ同時依頼し、求職者も複数社へ登録するため、扱う「モノ」自体では違いを出せないのです。
実際、有料職業紹介事業の報告提出事業所は3万561所に上り、同じ求人企業を多数が奪い合っています。しかも就職実績があったのは1万3,946所にとどまり、成約まで届くのは半数以下です。
裏を返せば、同じ商材でも勝てる会社と勝てない会社に二極化しているということです。この差を生むのは商材ではなく、次のような「担当者の提案力」に他なりません。
- 課題の引き出し方
- 提案の切り口
- 決裁者への伝え方
だからこそ、商材で戦う発想から、提案の質で選ばれる発想へ切り替える必要があります。
参考:令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)|厚生労働省
採用難の追い風の中で開拓スピードが遅く、有望な求人企業を競合に先取りされている
採用難の追い風は、自社だけでなく競合も同じく受けています。人材需要が高い局面ほど、同じ求人企業へ複数の紹介会社が一斉に群がるため、開拓スピードの差がそのまま勝敗を分けるのです。
有効求人倍率(令和8年4月・季節調整値)は1.18倍と、求人が求職を上回る売り手市場が続いています。したがって、次のシグナルを先に捉えた会社が有望企業を取ります。
- 中途求人の急増
- 新拠点・新店舗の開設
- 増資や大型受注のプレスリリース
これらの兆候を掴んだ日のうちに一次接触できれば、競合が動く前に関係を築けます。逆に検知が数日遅れるだけで、有望企業はすでに他社と商談に入っているケースが少なくありません。開拓は「量」より「速さ」で決まると捉え直すことが第一歩です。
参考:一般職業紹介状況(令和8年4月分)について|厚生労働省
「どの企業にいつ当たるか」の勝ちパターンがトップ営業の勘に依存している
新規開拓の成果は、トップ営業の勘に依存したままです。どの企業に・いつ・どう当たるかという判断が個人の経験則へ閉じているため、組織全体で再現することも、若手へ引き継ぐこともできません。
たとえば、次のような暗黙知は本人の頭の中だけにあり、離職とともに失われます。
- この業種は増資後3カ月が狙い目
- この規模の企業は現場責任者から攻める
- この時期は既存客の追客を優先する
さらに問題なのは、成功しても失敗しても、その要因が振り返られず言語化されない点です。結果として成果は一部の人材へ集中し、再現できないまま組織全体のアポ獲得率は頭打ちになります。属人化した勝ち筋を標準プロセスへ変えて初めて、誰が担当しても一定の成果が出る状態に近づきます。
【準備編】人材の新規営業で成果を出す準備のコツ
人材の新規営業は、求人企業へアプローチする前の準備で成果の大半が決まります。誰に当たるかを決めるターゲットリスト、どう入るかを決めるトークスクリプト、何を聞くかを決めるヒアリングシート。
この3つを型として先に整えておけば、担当者の力量に左右されず、組織として一定の成果を再現できるようになります。
採用ニーズの仮説を立ててターゲットリストを作成する
ターゲットリストは、採用ニーズが動くサインで優先順位をつけて作成します。人材の新規営業では、リストの精度がその後のアポ獲得率と受注率をほぼ決めてしまうからです。
求人企業には採用が動くタイミングが必ずあり、その初動をとらえた会社が先に接点を持てます。そこで、次のようなサインを手がかりに、採用ニーズが顕在化しそうな企業から優先的にリスト化します。
- 中途求人の急増
- 新拠点・新店舗の開設
- 増資や大型受注の発表
- 役員・管理職の離職
こうして仮説を持ってリストを設計すれば、限られた営業リソースを空振りさせず、確度の高い求人企業から順に攻められます。
テレアポ・メールで使うトークスクリプトを用意する
トークスクリプトは、「採用ニーズを確認する台本」ではなく「採用課題に踏み込む台本」として用意します。多くの人材会社が同じ求人企業に「求人ありませんか」と一斉に当たるため、御用聞き型の入り方では即座に埋もれてしまうからです。
差別化するには、入口から次アクションまでを一つの型にしておく必要があります。そこで、次の要素を台本に組み込みます。
- 受付突破のフック:仮説を示す(例「中途採用を強化されていると拝見し」)
- 担当者への切り口:踏み込む(例「同業では採用要件の見直しで充足した例がある」)
- 断り文句への切り返し
- 次回接点の取り方
このように台本を整えておけば、誰が架電しても一定水準で会話を前に進められ、属人的だったアポ獲得が組織の再現可能なプロセスに変わります。
採用課題を引き出すヒアリングシートを準備する
ヒアリングシートは、求人条件の確認票ではなく、採用の「背景」まで掘り下げる質問設計にします。人材の新規営業で受注を分けるのは、表面的な求人要件ではなく、その裏にある経営・組織課題をどこまで引き出せるかだからです。
求める人物像やスキルだけを聞いて終わると、他社と同じ求人票を持って価格や候補者数で競うことになり、差別化できません。そこでシートには、次の背景に迫る質問を組み込みます。
- なぜ今その採用が必要なのか
- 採用で何を実現したいのか
- 採れなければ事業にどう影響するのか
- 採用ではなく既存社員の育成では解決できないのか
こうした問いを型として持っておけば、担当者の経験に頼らず、企業自身も言語化できていない潜在課題まで届き、「採用の相談相手」としての立ち位置を築けます。
以前、ある製造業の担当者に「増員の理由」を尋ねたら、実は主力ラインの中核社員が翌春に定年で、技術の引き継ぎが間に合っていないという話が出てきました。求人票には「経験者募集」としか書かれていなかった内容です。そこまで聞けたおかげで、単なる人員補充ではなく技術継承を見据えた提案ができ、競合を抜いて受注できました。背景を一段掘るだけで、見える景色がまるで変わります。
【実践編】人材の新規営業を成功させる5つのコツ
人材の新規営業で受注を伸ばすコツは、準備した型を「実際の商談でどう動かすか」に集約されます。同じ求人企業を多くの人材会社が奪い合う以上、スピード・潜在層の開拓・課題ヒアリング・インサイト提案・決裁者攻略という5つの動き方が成否を分けます。
以下では、企業側の法人開拓で成果に直結する5つのコツを、順に解説します。
求人が動いた瞬間にスピードで先手を取る
新規開拓では、採用ニーズが動いた瞬間にいかに早く接点を持てるかが最大の武器になります。人材業界では同じ求人企業を競合と奪い合うため、先に接触した会社が有利になるからです。
準備編で洗い出した兆候が動いたら、その初動をとらえて同日〜翌日に一次接触します。たとえば求人媒体への新規掲載を検知したら、その日のうちに「御社の〇〇職の募集を拝見し」と当たるのが理想です。逆に一日でも遅れれば、同じ求人を見た競合に先を越されます。
反応が薄くても、3〜4か月後の追客リストに残しておけば、次に採用の波が来たときの再接触が受注につながります。このように、兆候の検知から接触までの速さを仕組みとして持つことが、先手を取る条件です。
顕在層だけでなく採用の潜在層を掘り起こす
潜在層の掘り起こしは、「今は募集していないが、近く採用が動く企業」に前もって接点をつくることで実現します。公開求人だけを追うと競合が集中し、案件の母数がすぐ枯れてしまうからです。
まだ求人化していない層には、競合の少ない案件が眠っています。具体的には、次のような前兆を示す企業に当たりをつけ、求人が出る前にアプローチします。
- 既存社員の退職が続いている
- 事業拡大を発表している
- 口コミサイトに人手不足の書き込みがある
- 繁忙期を控えている
こうした企業には、「今は募集されていないかもしれませんが」と前置きし、将来の採用計画をヒアリングする入り方が有効です。ここで「これから客」として関係を築いておけば、ニーズが顕在化した瞬間に最初に想起される存在になれます。
初回は求人票獲得より採用課題のヒアリングに徹する
初回商談のコツは、求人票の獲得を急がず、採用課題のヒアリングに徹することです。潜在課題を深く引き出すほど、その後の提案精度と受注率が上がるからです。
求人条件だけを聞いて持ち帰ると、他社と同じ求人票で候補者数や価格を競うことになり、差別化できません。そこで、準備編で用意したヒアリングシートを実際の商談で使い、SPIN話法の問題・示唆質問で深掘りしながら、次の3点を必ず押さえます。
- 過去の採用手法と失注理由
- 現場で起きている実害(採れないと何が滞るか)
- 意思決定者は誰か
その場で求人票をもらえなくても、聞き取った課題を言語化して返すだけで、「この担当者は分かっている」という信頼が生まれます。結果として、次回の提案機会につながります。
昔、若手に同行したとき、初回でいきなり求人票をもらおうとして相手が引いてしまった商談がありました。逆に、私が別の会社で「最近、現場は回っていますか」と世間話のように聞いたら、残業の常態化から離職が続いている実態が次々と出てきたんです。求人票はその日にはもらえませんでしたが、課題を整理して返したら翌週向こうから連絡が来ました。焦って求人票を取りにいくより、課題を深く聞くほうが結局は近道なんです。
顧客の潜在課題を先回りする「インサイト型」で提案する
提案で差別化するコツは、顧客がまだ気づいていない採用課題を先回りして示す「インサイト型」に切り替えることです。御用聞き型の提案は競合と横並びになり、埋もれてしまうからです。
求められた求人をそのまま埋めにいくのではなく、課題そのものを定義し直して提示します。たとえば「エンジニア採用が主課題と伺いましたが、実は入社後の定着に原因があり、募集要件の見直しで解決できるケースが多いです」と、課題の再定義から入る形です。
そのうえで業界データや他社の採用トレンドを持ち込み、「同業ではこう動いています」と気づきを与えれば、対話の主導権を握れます。こうして「採用の相談相手」のポジションを取れれば、価格競争から抜け出し、継続取引につながります。
御用聞き型が抜けないのは、本人がそれを御用聞きだと気づいていないケースが多いんです。「ちゃんとヒアリングしています」と言うんですが、聞いているのは求人条件だけ。課題を再定義して返す一言があるかどうかで、相手の反応がまるっきり変わります。
決裁者を動かす提案ストーリーを設計する
受注を決めるコツは、担当者の先にいる決裁者を動かす提案ストーリーを設計することです。機能や条件を羅列するだけでは、担当者止まりで決裁が下りないからです。決裁者は現場の要望ではなく事業インパクトで判断するため、次の流れで語ります。
| 順序 | 語る内容 |
|---|---|
| ①理想 | 目指す採用の理想像 |
| ②課題 | 現状とのギャップ |
| ③価値 | 解決したときの事業インパクト |
| ④方法 | 自社サービスでの実現方法 |
このとき、「人が採れる」ではなく「採用が決まることで売上や現場負荷がどう変わるか」を数字で示すと、経営層の関心事に接続できます。あわせて、決裁者向けの1枚サマリを渡し、担当者が上長を口説ける状態をつくる。そこまで整えて初めて、提案が社内で前に進みます。
ここまでの5つのコツは、いずれも準備編で整えた型を商談で動かすことで初めて機能します。ただ、型を自社の商材や顧客に合わせて設計し直す作業は、社内だけで進めると既存のやり方に引っ張られ、途中で止まりがちです。
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人材の新規営業開拓はAI・DXツールでどう加速できるか?
人材の新規営業は、AI・DXツールで「開拓のスピード」と「属人化の解消」を進められます。採用ニーズを検知するインテントデータと、商談を解析するAIツールが、準備編・実践編で整えた型を加速させます。
採用ニーズのシグナルを検知し、動いた企業に先回りする
インテントデータを使えば、採用を強化し始めた企業を求人化の前に検知し、先回りできます。Web上の検索や行動の履歴から、その企業が「今、何に関心を持っているか」を可視化できるからです。
人材の新規営業では、この初動をどれだけ早くつかむかが競合との差になります。たとえば、次のようなシグナルを出した企業を拾えば、求人媒体に掲載される前に一次接触できます。
- 「中途採用」「即戦力 採用」などのテーマを検索している
- 採用管理システムや求人サービスを調べている
- 自社の採用ページを更新した
準備編ではニュースや求人増から手作業で兆候を拾いましたが、ツールを使えばその検知を自動化し、まだ誰も接触していない企業へ先手を打てます。結果として、リスト作成から接触までの流れが速く、確度の高いものに変わります。
架電・商談を解析し、求人開拓の勝ちパターンを言語化する
AI商談解析ツールを使えば、トップ営業の勝ちパターンを言語化し、組織で再現できるようになります。架電や商談の録音を自動で文字起こしし、話の進め方や質問の切り出し方を可視化できるからです。
人材の新規営業では、採用課題の引き出し方や提案への持っていき方が個人の感覚に依存しがちで、そこが属人化の温床になります。そこで、受注した商談とそうでない商談を並べて解析すると、次のような勝ち筋が具体的に見えてきます。
- どの質問で相手が本音を話し始めたか
- どの切り口で決裁者に話が上がったか
- どのタイミングで求人票を引き出せたか
これらを言語化してトークスクリプトやヒアリングシートに反映すれば、トップの動きがチームの標準になります。ベテランに同席してもらわずとも、若手が成功商談を教材にして学べるため、育成にかかる時間も短縮できます。
属人化を脱し、組織で勝つ新規営業の仕組み化・育成
新規営業を個人技から組織の武器に変える鍵は、仕組み化と育成です。成功パターンをプロセスに落とし、若手が最短で立ち上がる育成を設計し、KPIで底上げする。この3つがそろって初めて、トップ営業に依存しない再現性のある営業組織が実現します。
成功パターンをプロセス化し営業フローに落とす
属人化を解消する第一歩は、トップ営業の動きを標準プロセスに落とすことです。勝ちパターンが個人の頭の中にある限り、他のメンバーは再現できず、成果が一部に偏り続けるからです。そこで、トップ営業が無意識にやっている動きを分解し、次のように誰でもたどれるフローに変えます。
- どの兆候でリストに入れるか
- 初回でどこまで課題を聞くか
- どの段階で決裁者に上げるか
このように各段階の判断基準を明文化すれば、担当者が代わっても一定の成果が出せます。結果として、成果が人に紐づく状態から、仕組みに紐づく状態へと変わります。
若手が最短で立ち上がる育成・ロープレ設計
若手を最短で立ち上げるには、「わかる」と「できる」の差を埋めるロープレと事後フォローが欠かせません。
座学で理解しても、実際の商談で使えなければ成果に結びつかないからです。多くの育成が失敗するのは、研修をやりっぱなしにし、現場に戻ると元のやり方に戻ってしまう点にあります。そこで、育成は次の流れで設計します。
- 型を教える(トークスクリプト・ヒアリングシート)
- ロープレで反復する
- 実商談の録音を振り返る
- 改善点を次のロープレに戻す
このサイクルを回し続ければ、若手が最短で戦力になり、育成の成果も定着します。
人材営業のロープレって、採用課題を引き出す練習が一番むずかしいんです。顧客役が「エンジニアが欲しくて」とすんなり言ってしまう。実際の求人企業は本当の課題を自分でも言語化できていないので、そこを掘る質問を録音で振り返ると一気に実戦的になります。

AI営業ロープレの始め方|ChatGPTを「24時間対応の顧客役」にする実践ガイド
「部下にロープレをやらせたいが、相手をする時間が取れない」「フィードバックしても、上司の感覚頼みと言われ納得感がな…
アポ獲得率を逆算したKPI管理で底上げする
アポ獲得率の底上げは、目標受注からの逆算でKPIを管理することで実現します。最終目標だけを追っても、どこがボトルネックか特定できないからです。そこで、受注までのプロセスを次の指標に分解し、それぞれを数値で追います。
- アポ数
- 商談化率
- 受注率
こうして分解すれば、たとえば「アポは取れているが商談化率が低い」といった弱点が一目でわかり、改善すべき箇所に手を打てます。感覚で「もっと頑張れ」と号令をかけるのではなく、数字で課題を特定して底上げする。これが組織全体のアポ獲得率を引き上げる近道です。
このサイクルを社内だけで回しきれない場合は、外部の研修を組み合わせる手もあります。CLF PARTNERSの営業研修では、トークスクリプトやヒアリングシートの型を貴社の商材に合わせて設計し、ロープレから商談録音の振り返り、事後フォローまで伴走します。
研修をやりっぱなしにしないため、「わかる」で止まらず「できる」まで届き、若手の戦力化を早められます。
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【事例】人材紹介の売上を1年で6倍にした新規営業のコツとは?
本記事の筆者は、前職で人材紹介事業の立て直しを任され、1年で売上を6倍に伸ばしています。その成果は、特別な営業手法をひとつ導入したからではありません。
すでに社内にあった資産を見つけ、組み合わせ、再現できる仕組みに変えた結果です。ここからは、実際に行った4つの施策を解説します。
グループ会社の営業網を活かした、紹介の「制度」化
グループ会社の営業網を「制度」として動かしたことが、立て直しの起点になりました。グループ会社の営業担当者に既存顧客の採用課題を確認してもらい、人材紹介会社へつなぐ仕組みをつくっています。
単に「採用ニーズがあれば紹介してください」と依頼するのではなく、次の点まで具体化しました。
- どのような顧客が対象か
- 顧客に何を確認するか(A4説明資料と確認事項を共有)
- 紹介後は誰がどのように対応するか
- 結果をどのように共有するか(顧客課題・当社提案・結果をレポートで共有)
ここでのポイントは、紹介を個人の善意に頼らず、制度として動かしたことにあります。仕組みにしたことで、紹介が安定して発生するようになりました。
株主企業の協力による、営業で使える導入事例の構築
株主企業に協力を仰ぎ、営業で使える導入事例をつくりました。実績が少ない立ち上げ期は、サービス説明よりも具体的な支援事例が重要になるからです。そこで株主企業に採用支援への協力を依頼し、次の要素をそろえた事例を用意しています。
- どの企業の、どんな採用課題に対して支援したか
- 具体的にどう支援したか
- その結果、どう変わったか
こうして「何ができます」ではなく、「同じ課題を持つ企業に、このような支援を行いました」と語れる状態が生まれ、提案の説得力が一気に上がりました。
「採用か育成か」の上位視点での提案と、研修という第二の収益柱
「採用か育成か」という上位の視点から提案したことで、収益の柱を増やせました。企業の課題によっては、新しい人を採用するより、既存社員を育成した方が適切な場合があるからです。筆者は研修会社での経験があったため、企業の状況に応じて提案を次のように分けています。
- 採用が適切なケース:即戦力が急ぎで必要、社内にない専門性を補いたい
- 育成が適切なケース:既存社員のスキル底上げで解決できる、定着に課題がある
そのうえで業界特化型・目的別の研修を立ち上げ、人材紹介だけに依存しない第二の収益の柱を構築しました。採用サービスを売るのではなく、企業の課題に上位の視点から向き合った点が成果につながっています。
売れる/売れない案件の比較による、受注判断基準の型化
受注した案件と失注した案件を比較し、組織で判断できる基準に型化しました。営業担当者個人の感覚に頼っていると、勝てない案件に時間を使ってしまうからです。そこで、売れやすい条件と売れにくい条件を次の6点で整理しています。
- 採用理由が明確か
- 採用の緊急度が高いか
- 採用できない場合の影響が大きいか
- 現場と経営層の認識が一致しているか
- 決裁者が採用活動に関与しているか
- 求める人物像が現実的か
この基準を持ったことで、勝てる案件に集中でき、無駄打ちが減りました。
以上の4つに共通するのは、すでに社内にある資産を、売上につながる仕組みに変えた点です。具体的には、次のような資産が活用できます。
- 既存顧客との接点
- グループ会社の営業網
- 株主企業との関係
- 過去の実績や事例
- 社員が持つ専門知識
- 他事業で蓄積したノウハウ
売上を6倍にできたのは、特別な手法を導入したからではなく、すでに存在していた資産を見つけ、組み合わせ、再現可能な仕組みに変えた結果でした。
人材の新規営業に関するよくある質問(FAQ)
人材の新規営業に関するよくある質問を紹介します。
新規営業に向いている人の特徴は?採用・育成で見るべきポイントは?
人材の新規営業に向いているのは、断られても仮説を立て直し、次に活かせる人です。
トーク力よりも、相手の採用課題を掘り下げて聞ける傾聴力が成果を分けます。採用・育成では、失注を自分の言葉で振り返れるか、学びを次の商談に反映できるかを見ると判断しやすくなります。
ただし、これらは型と仕組みでも底上げできるため、個人の素質に頼りきらず、育成でカバーする前提で見極めるのが現実的です。
成果が出ない“ダメ営業”に共通する特徴は?
成果が出ない営業に共通するのは、提案を急ぎ、課題ヒアリングを飛ばす点です。
相手の採用背景を聞かずに求人を求めるため、他社と同じ土俵で価格や候補者数を競うことになります。ただし、これは個人の能力不足というより、型やフォローの不足が原因です。ヒアリングシートや商談の振り返りを仕組みにすれば、多くは改善できます。
人材営業が「きつい」「やばい」と言われるのはなぜ?
人材営業が「きつい」「やばい」と言われるのは、属人化と非効率が担当者個人に負荷を集中させるからです。
勝ちパターンが共有されず、一人ひとりが気合と物量で数字を追う体制では、疲弊して当然といえます。管理職が取り組むべきは、根性で乗り切らせることではなく、楽に成果が出る仕組みへ変えることです。
準備の型化や勝ちパターンの共有を進めれば、同じ成果をより少ない負荷で出せます。「きつい」の正体は仕事量ではなく、仕組みの不在にあります。
まとめ|人材の新規営業は「型」と「仕組み化」で組織の武器になる
人材の新規営業で成果を出す鍵は、個人の勘や気合ではなく、「型」と「仕組み化」にあります。同じ求人企業を多くの人材会社が奪い合うなかで勝ち続けるには、トップ営業の勝ちパターンを言語化し、誰もが再現できる状態にすることが欠かせません。
本記事では、ターゲットリストやトークスクリプトを整える準備の段階から、スピードや課題ヒアリングといった実践のコツ、そして成功パターンのプロセス化や育成による仕組み化までを解説しました。
加えて、人材紹介事業を1年で売上6倍にした事例が示すのは、特別な手法ではなく、すでに社内にある資産を再現可能な仕組みに変えることの大切さです。属人化を解消し、若手が育ち、アポ獲得率が底上げされれば、新規営業は個人技から組織の武器へと変わります。
CLF PARTNERSでは、営業戦略の設計から現場定着まで一貫して支援しています。累計400社以上・3,000人以上の課題解決実績と、6カ月以内の成果創出にコミットする独自メソッドで、貴社の新規営業を「属人的な個人技」から「組織で再現できる仕組み」へと変革します。
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この記事の監修者

CLF PARTNERS株式会社
代表取締役社長 松下 和誉
大学卒業後、大手総合系コンサルティングファームに入社。最年少で営業マネジャーに就任。中小企業から大手企業まで幅広くコンサルティング業務を実施。また、文部科学省からの依頼を受け、再生機構と共に地方の学校再生業務にも従事。 その後、米Digital Equipment Corporation(現ヒューレットパッカード)の教育部門がスピンアウトした世界9ヵ国展開企業のJAPAN営業部長代行として国内の最高売上に貢献。 現在は関連会社12社の経営参画と支援を中心に、グループの軸となるCLF PARTNERS㈱ではVC出資ベンチャー企業、大企業の新規事業の支援に従事
公式Xアカウント:https://x.com/clf_km




