インサイドセールスを導入したものの、思うような成果を出せていないという企業担当者の方もいるのではないでしょうか。本記事ではインサイドセールスで成果を上げるコツを、事前準備編、実践編、検証編の3つに分けて14のコツを紹介します。
関連記事:インサイドセールスとは?役割やメリット、導入ポイントをわかりやすく解説
またCLF PARTNERSでは戦略立案から実行まで一貫した営業支援を行っております。「営業組織を変えたい」「商談化率や受注率が上がらない」という課題をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。
⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら
目次
インサイドセールスで成果を上げるコツ|事前準備編
インサイドセールスで成果を上げるには、綿密な事前準備が不可欠です。ここでは、成功に導く以下7つのコツを紹介します。
- インサイドセールスの役割を明確にする
- ターゲットとなる見込み顧客を分析する
- カスタマージャーニーを設計する
- KPIを設定する
- トークスクリプトを作成する
- ロールプレイングを行う
- ツールを導入する
これらの準備を丁寧に行うことで、インサイドセールス活動の基盤を築けるでしょう。
1.インサイドセールスの役割を明確にする
インサイドセールスで成果を出すには、まず役割を明確に定義しなければなりません。役割分担が曖昧だと、部門間の連携がスムーズに行えないからです。具体的な業務内容や責任範囲を明確にし、チーム内で共有しましょう。
具体的には、インサイドセールスの主な業務として、見込み顧客の発掘、育成、選別、アポイント獲得などが挙げられます。
マーケティング部門とフィールドセールス部門と連携し、どの範囲をインサイドセールスが担当するのか明確に定めましょう。
2.ターゲットとなる見込み顧客を分析する
ターゲットとなる見込み顧客を深く理解することも重要です。会社の売上や業種といった基本情報だけでなく、顧客の業界動向や直面している課題や、競合他社の状況などを幅広い視点で分析を行いましょう。
これらの情報を基に、顧客ごとのプロファイルを作成し、チーム内で共有します。日々の営業活動で得た新しい情報も随時更新し、常に最新の顧客像を把握できるようにしましょう。
見込み顧客を深く理解することで、提案も的確になり、信頼関係を構築できます。
3.カスタマージャーニーを設計する
顧客の購買プロセスを理解し、それに合わせたアプローチを設計することが不可欠です。これがカスタマージャーニーの設計です。
顧客は自社の課題やニーズを認識し、解決策を探るため様々な情報を集め、複数の製品やサービスを比較し最適な選択肢を探ります。その後、社内での承認プロセスを経て購入を決定し、導入・利用、アフターサポートを経験していきます。
これらの一連のプロセスを可視化したものがカスタマージャーニーマップです。
マップに沿って、各段階に適したコンテンツやシナリオを準備しましょう。顧客の状況を正確に把握し、最適なタイミングで最適な情報を提供することで、信頼関係を築き、商談成功率を高められます。
4.KPIを設定する
インサイドセールスの効果を最大化するには、適切なKPI設定が不可欠です。主要なKPIは以下の通りです。
【アクション関連KPI】
- 架電数・メール送信数
- 接触成功率
- ヒアリング実施数
【成果関連KPI】
- アポイント獲得数
- 商談化数
- 受注数
- 受注金額
特に受注数と受注金額は、インサイドセールスの最終的な成果を示す重要な指標です。受注業務はフィールドセールスが担当するケースが多いですが、チーム全体でKPIを共有し、達成に向けて連携を取っていきましょう。また、KPIと評価・報酬を連動させることで、メンバーのモチベーションアップも期待できます。
5.トークスクリプトを作成する
インサイドセールスを実施する際は、トークスクリプトの作成も欠かせません。導入部分で自社の紹介を行い、本論で商品・サービスの価値を提案。結論で次のアクションを提案する流れが理想です。
トークスクリプトは、テンプレートを使い回すのではなく、カスタマイズも必要です。業界や見込み顧客の特性に合わせた事例を盛り込み、想定される質問や懸念事項への回答を用意します。断られた際の切り返しパターンも準備しておくと良いでしょう。
スクリプトは、新人教育や品質の標準化にも役立ちます。自然な会話の流れを意識して作成することが重要です。
6.ロールプレイングを行う
作成したトークススクリプトを基に、ロールプレイングを行いましょう。ポイントはリアルなシナリオ設定です。実際の顧客との会話を参考にシナリオを作成し、自社に対して好意的な顧客から懐疑的な顧客まで、様々なケースで練習しましょう。
ロールプレイングの際は、セールス担当者と顧客役を交代で演じることで、異なる視点を体験し、理解を深められます。ロールプレイ後には、参加者全員でフィードバックを行い、良かった点や改善点を具体的に指摘し合います。
録音・録画も忘れずに。後で自身の対応を客観的に分析することで、言葉遣いや声のトーンなど、細かな点まで確認できるでしょう。
7.ツールを導入する
インサイドセールスの効率を高めるには、適切なツールの導入が不可欠です。主要なツールには以下があります。
- MA(マーケティング自動化ツール)
- SFA(営業支援システム)
- CRM(顧客関係管理システム)
- CTI(電話やFAXとコンピュータを統合したシステム)
- オンライン会議システム
これらのツールを適切に組み合わせることで、インサイドセールスの生産性が大幅に向上します。ただし、導入時には十分なトレーニングとサポートが必要です。
自社に適したツールの選び方がわからない場合は、ぜひお気軽にCLF PARTNERSまでご相談ください。
インサイドセールスで成果を上げるコツ|実践編
ここからは、実践的な4つのコツを紹介します。
- 話すよりも聴くことを重視する
- BANTCH情報をヒアリングする
- 顧客の課題解決を第一に意識する
- 次のアクションを明確にしておく
これらのコツを活用し、顧客中心のアプローチを実践することで、インサイドセールスの効果を最大化できるでしょう。
1.話すよりも聴くことを重視する
インサイドセールスでは、話すよりも聴くことを重視すべきです。なぜなら、見込み顧客の課題やニーズを引き出し、信頼関係を築くためには、丁寧なヒアリングが不可欠だからです。
具体的には、顧客との会話で80%は相手の話を聞き、20%だけ自分が話すというバランスを意識しましょう。「はい」や「いいえ」で答えられないオープンクエスチョンを多用し、相手の話を遮らず、適切な相槌を打つことが大切です。また、聞いた内容を要約して確認することで、理解度を示すと同時に、さらなる情報を引き出せます。
結果、的確な提案ができるようになり、成約率の向上につながります。
2.BANTCH情報をヒアリングする
インサイドセールスでは、以下のBANTCH情報のヒアリングが不可欠です。
- Budget(予算)
- Authority(決裁権)
- Needs(ニーズ)
- Timing(導入時期)
- Competitor(競合)
- Human resources(人的資源)
例えば、「今年度の予算はどのくらいお考えですか?」「意思決定者は誰ですか?」といった質問を自然な会話の流れの中で行います。
直接的にヒアリングするのではなく、会話の中から自然に情報を引き出すテクニックも重要です。他社での導入事例を伝える中で、「御社の状況に近いものがあれば教えていただけますか?」といった形でニーズや予算感を探れます。
BANT情報を丁寧に収集することで、顧客の状況を正確に把握し、的確な提案ができるようになるでしょう。無駄な提案を減らし、顧客にとっても価値ある商談を進められるようになるのです。
3.顧客の課題解決を第一に意識する
単に自社製品を売り込むのではなく、顧客の問題解決に焦点を当てることが重要です。
例えば、顧客が「作業効率を上げたい」と言えば、まずその背景にある具体的な問題点を深掘りします。「どの作業に特に時間がかかっていますか?」「それによってどのような影響が出ていますか?」といった質問を通じて、課題の本質を探ります。解決策として自社製品がどう役立つかを提案するのです。
このアプローチを実践するには、まず顧客の業界や企業についての事前リサーチが不可欠です。ヒアリングでは「なぜ」「どのように」といった質問を使い、課題の本質を探ります。最後に、自社製品の機能ではなく、顧客にもたらす具体的なメリットを中心に提案します。
顧客の課題解決を第一に考えるアプローチは、一時的な売上だけでなく、顧客との信頼関係構築や長期的な事業成長につながるでしょう。結果として、クロスセルやアップセルの機会も増やせます。
4.次のアクションを明確にしておく
インサイドセールスで見込み顧客と接点を持った際は、必ず次のアクションを明確にしておきましょう。継続的な関係を維持できるからです。
例えば、次のように伝えるのが良いでしょう。
「来週の水曜日に、今日お話しした内容の詳細資料をお送りさせていただきます。その後、金曜日にお電話にて、ご質問にお答できればと考えていますがいかがでしょうか?」
このように具体的な日時や内容を提示し、顧客の同意を得ることが大切です。約束したアクションは必ず実行し、信頼関係を築いていきましょう。
次のアクションを明確にする習慣をつけることで、商談の進捗がスムーズに進み、成約率の向上につなげられます。顧客側も次の展開を予測できるため、準備ができ、より建設的な商談が可能になるでしょう。
インサイドセールスで成果を上げるコツ|検証編
インサイドセールスで継続的に成果を出すには、日々の活動を検証し、改善していく必要があります。ここでは、効果的な検証と改善のための3つのコツを紹介します。
- ベストプラクティスを共有する
- 失注の原因を分析する
- 保留・失注案件に再びアプローチする
これらの取り組みを通じて、チーム全体のスキルアップと成果の向上を図ることができるでしょう。
1.ベストプラクティスを共有する
ベストプラクティスをチーム全体で共有し、メンバーの成功事例をチーム全体の財産として活用しましょう。
定例ミーティングでは、最も成果を上げた担当者に秘訣を発表してもらい、アプローチ方法や顧客とのやり取りの詳細をチーム全体で共有するのがおすすめです。
ベストプラクティスはデータベース化し、誰でもアクセスできるようにします。業種別、商品別などでカテゴリー分けすると管理しやすいです。
また、新人教育やスキルアップ研修にもベストプラクティスを積極的に取り入れましょう。実際の成功事例を基にしたロールプレイングは特に有効です。
2.失注の原因を分析する
インサイドセールスで成果を上げるには、失注の原因分析が不可欠です。商談成功率を高めていくには必須の取り組みです。
まずは、各案件の詳細な記録を残すことから始めます。顧客との対話内容や提案内容、顧客の反応、競合情報などを漏れなく記録し、失注要因を分類します。次に失注した要因を特定します。例えば、「価格が高い」「機能が少ない」「競合製品の方が魅力的」などが例です。
得られたインサイトをトークスクリプトの改善や提案資料の修正、商品開発へのフィードバックに活かすことで、商談成功率を高められるでしょう。
3.保留・失注案件に再びアプローチする
保留となっている案件や失注した案件には再びアプローチしましょう。顧客の状況や優先順位は時間とともに変化する可能性があるからです。
再アプローチは、初回から3〜6ヶ月後が一般的です。このとき、新しい価値提供を心がけます。例えば、業界トレンドの情報提供など、顧客にとって有益な情報を添えるのも良いでしょう。
失注理由に応じたアプローチも効果的です。「予算がない」なら新年度開始前、「他社の製品を選んだ」なら契約更新時期に合わせるなど、戦略的に計画を立てます。
なお、MAを活用すれば、休眠顧客が「メルマガから自社サイトにアクセスした」などの行動履歴がわかるので、アプローチしやすくなります。
保留・失注案件への再アプローチは、新規開拓より効率的に商談を獲得できる可能性があります。粘り強く、顧客視点を忘れずにアプローチを続けることで長期的な視点で成果につなげられるでしょう。
インサイドセールスの担当者に求められるスキル
インサイドセールスの担当者に求められるスキルの中で、特に重要なのが以下の3つです。
- コミュニケーションスキル
- ヒアリングスキル
- データ分析スキル
それぞれのスキルについて、詳しく解説します。
コミュニケーションスキル
インサイドセールスにおけるコミュニケーションスキルは、顧客との信頼関係構築や情報収集、提案の説得力に直結する重要なスキルです。
例えば、新規顧客へのアプローチ時に「お忙しいところ失礼いたします。御社の業務効率化に関する課題についてお伺いできればと思います」と丁寧に切り出すことで、相手に好印象を与えられます。また、顧客の発言に対して「なるほど、そのような課題を抱えていらっしゃるのですね」と共感を示すことで、信頼関係を築きやすくなるでしょう。
非言語コミュニケーションも重要です。電話での会話では、明るく落ち着いた声のトーンを心がければ、顧客に安心感を与えられます。また、相手の話すペースに合わせることで、スムーズなコミュニケーションが可能になります。
ヒアリングスキル
インサイドセールスにおけるヒアリングスキルは、顧客の本質的な課題を引き出す能力です。ヒアリングする際のおすすめは、オープンクエスチョン、ファネリング、アクティブリスニングの3つの手法です。
例えば、「現在の業務で最も時間がかかっているのはどの部分ですか?」と質問し、「なぜそれが問題だと感じていますか?」と掘り下げます。次に「つまり、○○が原因で△△という問題が起きているということですね」と確認します。
これら手法を習得するには、日々の会話で意識的に実践すると良いでしょう。
データ分析スキル
インサイドセールスにおけるデータ分析スキルは、顧客データからインサイトを得て的確なアプローチを行うために重要です。基本はデータ収集から始まり、顧客セグメンテーションや購買傾向の分析へと進みます。
次に、RFM分析(最終購入日、購入頻度、購入金額の指標で顧客をグループ分けする分析手法)や予測分析などを用いて、優先顧客の特定や将来の購買確率予測を行います。
このスキルを向上させるには、統計知識やExcelの基本を学び、さらにMAやCRMなどのツールを活用するのが効果的です。
インサイドセールスの成功事例3選
インサイドセールスの成功事例を3つ紹介します。
成功させるポイントを詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
関連記事:インサイドセールスのやり方を7ステップで解説!成功させるポイントも紹介
GLナビゲーション株式会社(Salesforce)
人材育成やDXコンサルティングの領域で事業を展開しているGLナビゲーションは、Salesforceを活用し、顕著な成果を上げました。
同社は、従来の個人依存型の営業スタイルから脱却し、Salesforceを導入してデータドリブンな営業体制を構築。特筆すべきは、700以上の項目による顧客分析と、それに基づくホットリストの自動生成です。
インサイドセールスチームは、このホットリストを活用して効率的にアプローチし、新卒1年目の営業担当者全員が年間1億円以上の売上を達成。また、営業担当者1人当たりの生産性が40%向上するなど、インサイドセールスの効率と効果が大幅に改善されました。
ランスタッド株式会社(HubSpot)
ランスタッドは、オランダに本社を置く総合人材サービス企業の日本法人で、人材派遣や紹介予定派遣などのサービスを提供しています。同社は、インサイドセールスの効率化を図るため、HubSpotを導入し、特にLINEとの連携に注力しました。
従来のメールや電話による求職者とのコミュニケーションでは、返信率が20%程度と低迷していました。しかし、HubSpotとLINEを連携させることで、求職者からの返信率が80%にまで大幅にアップ。
さらに、案件とのマッチング率も16%から25%に上昇しました。成果を出せた要因は、求職者が日常的に使用するLINEを活用し、コミュニケーションのハードルを下げたことにあります。
また、HubSpotのCRMとの連携により、求職者の状況をリアルタイムで把握し、効率的にフォローアップできるようにもなりました。
株式会社ニューズベース(Mazrica Sales)
株式会社ニューズベースは、企業イベントの企画・制作・運営を手がける会社です。インサイドセールスの効率化を目指してMazrica Salesを導入しました。
同社は、営業組織の拡大に伴い、データ管理の必要性を感じていました。Mazrica Salesの導入により、G Suite連携機能を活用して顧客とのやり取りを自動的に記録し、営業担当者の負担を軽減。
また、インサイドセールスからクロージング担当者まで、3名の異なる営業担当者が効率的に案件を引き継げるようになりました。
Mazrica Salesを活用したことで、新規顧客からの受注金額が3倍に増加。営業活動の可視化により、各担当者の強み弱みを把握し、改善に繋げられるようになったのが大きな要因です。
まとめ|インサイドセールスで成果を上げるコツを解説しました
本記事では、インサイドセールスで成果を上げるための14のコツを、事前準備編、実践編、検証編に分けて紹介しました。
これらのコツを実践することで、インサイドセールスの効果を最大化し、成果を上げられるでしょう。
一方で、リソース不足で対応できない、インサイドセールスを導入したものの、成果が挙がっていないと感じている方もいるかもしれません。そんな方は、ぜひCLF PARTNERSにご相談ください。350社以上の営業組織の支援実績を持つ当社が、皆さまのインサイドセールスを成功に導きます。
関連記事:【2024】おすすめインサイドセールス代行10社比較!選び方も徹底解説
営業の悩みをプロに相談してみませんか?
営業組織を変えたい、商談化率や成約率を向上したいという方はお気軽にCLF PARTNERSへご相談ください。
CLF PARTNERS株式会社
代表取締役社長 松下 和誉
大学卒業後、大手総合系コンサルティングファームに入社。最年少で営業マネジャーに就任。中小企業から大手企業まで幅広くコンサルティング業務を実施。また、文部科学省からの依頼を受け、再生機構と共に地方の学校再生業務にも従事。 その後、米Digital Equipment Corporation(現ヒューレットパッカード)の教育部門がスピンアウトした世界9ヵ国展開企業のJAPAN営業部長代行として国内の最高売上に貢献。 現在は関連会社12社の経営参画と支援を中心に、グループの軸となるCLF PARTNERS㈱ではVC出資ベンチャー企業、大企業の新規事業の支援に従事
公式Xアカウント:https://x.com/clf_km