営業ノウハウ

営業戦略・戦術で活用できるフレームワーク19選|具体例やテンプレートも紹介

「営業目標を達成するための戦略や戦術が立てられない」
「フレームワークの使い方がよく分からず、効果的な営業計画が作れない」

このような悩みを抱える営業マネージャーや営業担当者は少なくありません。 IT、製造業、人材、不動産、教育など、さまざまな業界のBtoB営業において、効果的な営業戦略・戦術の立案は成功の鍵となります。

本記事では「営業戦略・戦術で活用できるフレームワーク」について詳しく解説するとともに、以下のテーマに焦点を当てて説明していきます。

  • 営業戦略に活用できるフレームワークの定義と重要性
  • 営業戦略・戦術に役立つ19のフレームワークとその特徴
  • フレームワークを活用した営業戦略立案の具体例

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営業戦略に活用できるフレームワークとは?

営業戦略に活用できるフレームワークとは、営業活動の方向性を明確にし、効果的な施策を立案するためのツールです。 これにより、複雑な営業環境を整理し、戦略的な意思決定を支援します。

例えば、SWOT分析を用いることで、自社の強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) を明確に把握できます。

IT企業が「クラウドサービス事業の拡大」を戦略として掲げた場合、技術力の高さ(強み)や競合の増加(脅威)などを考慮し、具体的な戦術を策定することが可能です。 ここで重要なのは、戦略と戦術の違いです。

戦略は長期的な目標達成に向けた大枠の計画であり、戦術はその計画を実行するための具体的な手段です。 例えば、「特定業界向けクラウドソリューションの開発」が戦略であるなら、「業界別セミナーの開催」が戦術となります。

このように、フレームワークを活用することで、企業はBtoB営業において効果的な戦略立案と戦術の実施が可能となります。

営業戦略にフレームワークを活用するメリット

営業戦略にフレームワークを活用するメリットは、以下の2点です。

  • 効率よく営業戦略を立案できる
  • 自社の営業課題を見つけやすくなる

効率よく営業戦略を立案できる

営業戦略にフレームワークを活用する最大のメリットは、効率的に戦略を立案できる点です。 体系化された思考ツールを使用することで、戦略立案のプロセスが明確になり、重要な要素を見落とすリスクを低減できます。

例えば、3C分析(自社・顧客・競合)を活用することで、市場環境を包括的に把握しやすくなります。

IT企業が新規事業を展開する際、この分析を通じて自社の強み、顧客ニーズ、競合状況を効率よく整理でき、「中小企業向けクラウドセキュリティサービス」など、具体的な戦略を迅速に導き出すことが可能です。

さらに、フレームワークを用いることで、チーム内の情報共有や意思決定も円滑に進みます。 共通の枠組みがあることで、議論が的を絞りやすくなり、戦略立案に要する時間や労力を大幅に削減できます。

自社の営業課題を見つけやすくなる

営業戦略にフレームワークを活用するもう一つの重要なメリットは、自社の営業課題を発見しやすくなる点です。 これは、フレームワークが提供する構造化された分析手法により、営業プロセスや市場環境を客観的に評価できるからです。

例えば、SWOT分析を活用すると、自社の強み、弱み、市場機会、脅威を明確に把握できます。 人材紹介企業が新規顧客開拓を目指す際、この分析を通じて「営業人員の専門知識不足」という弱点や「新興産業からの人材需要増加」という機会を特定できるでしょう。

これにより、「営業チームの専門研修強化」や「新興産業向けサービスの開発」といった具体的な課題が明らかになります。 さらに、フレームワークを定期的に使用することで、時間の経過とともに変化する課題も捉えやすくなります。

市場動向や自社の状況に応じた分析を行うことで、新たな課題を早期に発見し、迅速に対応策を打ち出せるようになるのです。

営業戦略立案に役立つフレームワーク13選

営業戦略立案に役立つ13のフレームワークをご紹介します。 それぞれのフレームワークがどのような場面で有効かを、以下の表にまとめましたので、参考にしてください。

フレームワーク一覧有効な場面
3C分析新規市場参入や新製品開発時に、市場環境を把握し、自社の競争優位性と差別化戦略の基礎情報を得るために有効
4P分析新規事業の立ち上げや既存事業の見直し時に、価格・製品・販路・プロモーションの視点から製品やサービスの市場投入戦略を包括的に策定する際に有効
4C分析顧客開拓や顧客との関係強化に力を入れる場面 STP分析 新規市場参入や新製品・サービスの導入時に、最適な市場選定と効果的な顧客アプローチを行う場面
SWOT分析新規事業の立ち上げや既存事業の見直し時に、内部資源と外部環境の双方を考慮した戦略を策定する場合に有効
TOWS分析
(クロスSWOT分析)
新規事業展開を検討する際に、外部環境と内部資源の両面を考慮する場面
PEST分析政治、経済、社会、技術の外部環境を評価する際に有効
VRIO分析競合他社との差別化を図る戦略立案の際に有効
バリューチェーン分析自社の価値提供プロセスの改善や競争優位性の強化に有効
ランチェスター戦略ニッチ市場や競争相手の多い市場での戦略的優位性を確立する場面
パレートの法則売上や利益の大部分を占める重要顧客を見極め、リソースを最適化する場面
ファイブフォース分析競争環境の評価や新規参入時の市場分析に有効

3C分析

3C分析

3C分析は、効果的な営業戦略を策定するために不可欠なフレームワークです。 このフレームワークでは、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3要素を分析し、自社の市場における立ち位置を明確化しつつ、競争優位性を見出す手助けをします。

3C分析が有効とされる理由は、市場全体を俯瞰して把握できる点です。 顧客ニーズ、競合の動向、自社の強みを同時に分析することで、バランスの取れた戦略の構築が可能となるのです。

例えば、顧客の潜在ニーズと自社の強みを組み合わせた新サービスの提案や、競合の弱みを突いた営業アプローチの策定が考えられます。 以下は、3C分析の具体的な活用例です。

要素分析ポイント具体例
Customer(市場・顧客)ニーズ、購買行動 「コスト削減を求める製造業顧客」
Competitor(競合)強み、弱み、戦略 「低価格戦略をとる競合A社」
Company(自社)独自の技術、サービス 「高効率な生産管理システム」

3C分析は、新規市場への参入や新製品開発など、大きな戦略転換を図る際に特に有効です。

4P分析

4P分析

4P分析は、効果的な営業戦略を策定する上で有用なフレームワークです。

このフレームワークでは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促活動)の4つの要素を分析することで、自社の提供価値を最大化し、顧客ニーズに適切に応えることが可能です。

4P分析が有効である理由は、マーケティングミックス全体を把握できる点です。 各要素を綿密に検討することで、バランスの取れた戦略立案が実現し、結果的に顧客満足度の向上と売上増加を促進します。

4P分析を活用する際は、まず各要素の現状を把握し、次に改善点や新たな施策を検討します。 例えば、製品の機能強化、価格戦略の見直し、新たな販売チャネルの開拓、効果的なプロモーション手法の導入などを総合的に考えることがポイントです。

以下は、4P分析の具体的な活用例です。

要素分析ポイント具体例
Product(製品) 特徴、品質「AI搭載の生産管理システム」
Price(価格)価格設定、支払条件「初期費用無料、月額制」
Place(流通) 販売チャネル、物流 「オンラインデモと訪問営業の併用」
Promotion(販促活動)広告、PR活動「業界展示会での新製品発表」

4P分析は、新規事業の立ち上げや既存事業の見直しといった、包括的な戦略策定が求められる場面で特に有効です。

4C分析

4C分析

4C分析は、顧客を中心とした営業戦略を立案する際に重要なフレームワークです。

このフレームワークは、Customer Value(顧客価値)、Customer Cost(顧客コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の4つの視点から分析し、顧客目線での戦略構築を実現します。

4C分析が有効である理由は、顧客ニーズを的確に把握し、それに応じた製品やサービスを提供できる点にあります。 従来の企業視点での4P分析と異なり、4C分析は顧客の視点に立つことで、より効果的な戦略の立案が可能になるのです。

具体的な活用例としては、以下のような分析が挙げられます。

要素分析ポイント具体例
Customer Value(顧客価値)顧客が求める価値「生産性向上と利益増加」
Customer Cost(コスト)顧客が負担するコスト「導入と運用コストの最適化」
Convenience(利便性)購入・利用時の利便性「クラウドを活用した即時導入」
Communication
(コミュニケーション)
顧客とのやりとり「24時間体制のサポートを提供」

4C分析は、顧客開拓や顧客との関係強化に力を入れる場面で特に効果的です。

STP分析

STP分析は、Segmentation(市場細分化)、Targeting(ターゲット選定)、Positioning(自社の位置づけ)の3つのステップを通じて、最適な市場へのアプローチを見つけ出すフレームワークです。

STP分析が有効である理由は、限られた経営資源を最も効果的に活用できる市場や顧客を特定し、そこに的を絞った戦略を構築できる点です。 具体的には、Segmentationでは市場を地理的、人口統計的、心理的特性などで細分化します。

例えば、IT業界では企業規模や業種、技術ニーズなどで市場を分けることが可能です。 次に、Targetingでは、自社の強みを最大限に活かせる最適なセグメントを選択し、Positioningでは、選択したターゲット市場での自社の独自の立ち位置を確立します。

以下は、STP分析の具体的な活用例です。

要素分析ポイント具体例
Segmentation(市場細分化)市場の分類基準「業種、企業規模、地域」
Targeting(ターゲット選定)最適な顧客層「従業員100人以上の製造業」
Positioning(自社の位置づけ)差別化要素「AI搭載の予測保全システム」

STP分析は、新規市場への参入や新製品・サービスの導入など、戦略的な意思決定が求められる場面で特に効果を発揮します。

SWOT分析

SWOT分析

SWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの要素を分析し、自社の現状と外部環境を総合的に把握するためのフレームワークです。 内部要因と外部要因を同時に考慮できる点が特徴となります。

これにより、自社の強みを最大限に活かし、弱みを補いつつ、市場の機会を捉えて脅威に備える、バランスの取れた戦略を策定することが可能です。 SWOT分析を活用する際は、まず各要素を洗い出し、次にそれらを組み合わせて戦略を検討します。

例えば、強みと機会を組み合わせて新たな市場機会を追求したり、弱みと脅威を考慮してリスク回避策を立てたりします 以下は、SWOT分析の具体的な活用例です。

要素分析ポイント具体例
Strength(強み)自社の強み「独自のAI技術」
Weakness(弱み)自社の弱み「営業力の不足」
Opportunity(機会)市場機会「DX需要の増加」
Threat(脅威)外部脅威「新規参入企業の増加」

SWOT分析は、新規事業の立ち上げや既存事業の見直し、市場参入戦略の策定など、包括的な状況分析が求められる場面で特に効果を発揮します。

クロスSWOT分析

クロスSWOT分析は、通常のSWOT分析をさらに発展させ、内部要因と外部要因を掛け合わせることで、より具体的な戦略立案を可能にするフレームワークです。

このフレームワークでは、SWOT分析で明らかになった要素を組み合わせ、4つの戦略オプションを導き出します。 クロスSWOT分析が有効である理由は、単なる現状分析にとどまらず、具体的なアクションプランの策定に直結する点にあります。

これにより、自社の強みと市場機会を最大限に活かし、弱みや脅威に適切に対処する戦略を立てることが可能です。 具体的な活用例としては、以下の戦略が挙げられます。

要素具体例
積極戦略(強み × 機会)「AI技術を活かしたDXソリューション開発」
差別化戦略(弱み × 機会) 「営業力強化のためのパートナー企業との提携」
段階的戦略(強み × 脅威)「独自技術を活かした新規市場開拓」
防衛戦略(弱み × 脅威)「コスト削減と効率化による競争力強化」

クロスSWOT分析は、新規事業展開や市場参入、既存事業の再構築といった、包括的な戦略が求められる場面で特に効果を発揮します。

TOWS分析

TOWS分析は、SWOT分析を発展させたフレームワークで、外部環境(機会と脅威)と内部環境(強みと弱み)を戦略的に組み合わせ、より具体的な戦略オプションを導き出す手法です。

このフレームワークは、環境変化に適応しつつ、自社の強みを最大限に活かした戦略の立案を可能にします。 TOWS分析が有効である理由は、外部環境を起点に内部環境を見直すことで、新しい視点から戦略を検討できる点にあります。

これにより、変化する市場に対応しつつ、自社の強みを活かして独自の戦略を構築できるのです。 具体的な活用例としては、以下の戦略が挙げられます。

要素具体例
攻撃的戦略(機会 × 強み) 「AI技術を活用した新サービスの開発」
分散的戦略(機会 × 弱み) 「パートナー企業との協業による販路拡大」
防衛的戦略(脅威 × 強み)「技術力を活かした差別化製品の投入」
撤退的戦略(脅威 × 弱み)「不採算事業からの撤退と資源の再配分」

TOWS分析は、市場環境が激しく変化する中での戦略立案や、新規事業展開を検討する際に、外部環境と内部資源の両面を考慮する場面で特に有効です。

PEST分析

PEST分析

PEST分析は、Political(政治的要因)、Economic(経済的要因)、Social(社会的要因)、Technological(技術的要因)の4つの外部環境要因を分析するためのフレームワークです。

このフレームワークは、企業を取り巻くマクロ環境を包括的に理解し、将来の事業機会や脅威を予測することに役立ちます。

PEST分析が有効である理由は、企業が直接コントロールできない外部要因を体系的に分析することで、広範な視野を持った戦略立案が可能になる点にあります。 これにより、市場の変動を先取りし、迅速に対応できる体制を整えることができるのです。

具体的な活用例としては、以下の分析が挙げられます。

要素分析ポイント具体例
Political(政治的要因)法規制や政策「データプライバシー法の強化」
Economic(経済的要因)経済指標や市場動向「円安進行による輸出増加」
Social(社会的要因)人口動態や価値観「リモートワークの一般化」
Technological(技術的要因) 技術革新やIT動向「5G通信の普及」

PEST分析は、新規市場への参入や中長期的な事業計画を立案する際など、広範な環境分析が求められる場面で特に効果を発揮します。

VRIO分析

VRIO分析とは、Value(価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣困難性)、Organization(組織)の4つの観点から、自社の経営資源や能力を評価するフレームワークです。

VRIO分析の有効性は、自社の強みを多角的かつ客観的に評価できる点にあります。 これにより、競合に対して独自性を発揮できる要素を特定し、それを基にした戦略を構築できるのです。 具体例としては、以下のような評価ポイントが挙げられます。

要素分析ポイント具体例
Value(価値)顧客に価値を提供する要素「コスト削減に役立つAIシステム」
Rarity(希少性)他社にはない希少な要素「独自開発された予測アルゴリズム」
Imitability(模倣困難性)他社が模倣しにくい要素「長年の実績を持つノウハウ」
Organization(組織)その強みを活用できる組織の力「柔軟な組織体制と人材育成制度」

VRIO分析は、新規事業の立ち上げや既存事業の強化、競合他社との差別化を図る戦略立案の際に特に効果を発揮します。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、企業の活動を一連の価値創造プロセスとして捉え、それぞれの段階での付加価値を分析するフレームワークです。

バリューチェーン分析の有効性は、企業活動の各段階で生み出される価値を可視化できる点にあります。 これにより、コスト削減や差別化の機会を発見し、より効果的な戦略立案が可能です。 具体例としては、以下のような分析が挙げられます。

要素分析ポイント具体例
購買物流原材料調達の効率化「AI活用の需要予測システム導入」
製造生産プロセスの最適化「IoT技術を用いた生産ラインの効率化」
出荷物流 配送ネットワークの改善「ドローン配送の実験導入」
マーケティング顧客接点の強化「オンライン商談システムの構築」
サービスアフターサポートの充実「遠隔保守サービスの提供」

バリューチェーン分析は、業務プロセスの改善や新たな付加価値の創出、競合他社との差別化を図りたい場面で特に効果を発揮します。

ランチェスター戦略

ランチェスター戦略は、市場シェアを基に効果的な営業戦略を立案するためのフレームワークです。 ランチェスター戦略が有効な理由は、自社の市場での位置づけを明確にし、それに応じた最適な戦略を選択できる点にあります。

これにより、限られた経営資源を効率的に活用し、競争優位性を獲得することが可能です。 具体例としては、以下のような戦略が挙げられます。

戦略適用条件具体例
集中戦略市場シェアが小さい場合 「特定の地域での営業を強化」
差別化戦略 独自の強みがある場合「AI技術を活用した新サービスの開発」
追随戦略市場シェアが上位の場合 「競合製品の機能を模倣し、低価格化を実施」

ランチェスター戦略は、新規市場への参入や既存市場でのシェア拡大、競合他社との戦略的差別化が求められる場面で特に効果を発揮します。

パレートの法則

パレートの法則は、「全体の結果の80%は、全体を構成する要素の20%から生まれる」という経験則に基づくフレームワークです。 パレートの法則が有効な理由は、全体の中で重要度の高い要素を特定し、そこにリソースを集中できる点にあります。

これにより、効率的な営業活動や生産性の向上が実現可能です。 具体的な活用例としては、以下のようなものが挙げられます。

要素分析ポイント具体例
顧客分析売上貢献度「上位20%の顧客に営業リソースを集中」
製品分析利益率「利益率上位20%の製品に注力」
営業活動成約率「成約率の高い20%の営業手法に絞る」

パレートの法則は、営業リソースの最適化や優先順位付け、効率的な営業戦略の立案など、限られたリソースで最大限の成果を求める場面で特に効果を発揮します。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析は、業界の競争環境を5つの力(新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力、競合他社との敵対関係)に基づいて分析するフレームワークです。

ファイブフォース分析が有効な理由は、業界の収益性や競争環境を多面的に評価できる点にあります。 これにより、自社の市場でのポジションを明確にし、より精度の高い戦略を立案することが可能です。 具体的な活用例としては、以下のようなものが挙げられます。

要素分析ポイント具体例
新規参入の脅威参入障壁「低コストで新規プレイヤーが参入しやすい市場」
代替品の脅威代替サービスの有無「クラウドサービスによる代替」
買い手の交渉力顧客の選択肢「大口顧客への依存度が高い」
売り手の交渉力サプライヤーの影響力「希少な部品の調達先」
競合他社との敵対関係競争の激しさ「価格競争が激しい市場」

ファイブフォース分析は、新規市場参入や既存事業の再評価、競合との差別化戦略を検討する際に、業界全体の競争構造を踏まえた戦略策定に特に効果を発揮します。

営業戦術に活用できるフレームワーク6選

営業戦術に活用できるフレームワーク6選をご紹介します。 それぞれのフレームワークがどのような場面で有効かを、以下の表にまとめましたので、参考にしてください。

フレームワーク一覧有効な場面
BANTCH初期の商談段階での見込み客の質の評価、効率的な商談の絞り込み
MEDDIC複雑な購買プロセスを持つ大規模案件、長期的な商談
SPIN 顧客が自社の課題を明確に認識していない場合、複雑な製品・サービスの価値説明
AIDMA新規顧客の開拓から成約までの長期的なプロセス設計、複雑な製品・サービスの販売
FABE分析高機能な製品やサービスの価値伝達、競合との差別化が必要な場合
DMUマップ大規模な組織への提案、複数の部門が関わる製品・サービスの販売

BANTCH

BANTCHは、BtoB営業において広く活用される戦術的フレームワークです。

Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(ニーズ)、Timeframe(導入時期)、Competitor(競合)とHuman resources(人材)の6つの要素で構成されており、見込み客の質をより詳細に評価し、効率的に情報を収集することが可能です。

このフレームワークが有効な理由は、リソースを最も有望な商談に集中させることで、営業活動の効率を最大化できる点です。

さらに、競合状況や人材面の把握により、より戦略的なアプローチが可能となります。具体的な活用例として、次のような質問と情報収集が挙げられます。

要素質問例具体的な情報収集
Budget(予算)予算規模は?「約1000万円」
Authority(決裁権)決裁権者は?「経営企画部長」
Needs(ニーズ)課題は何か? 「コスト削減」
Timeframe(導入時期)導入時期は? 「半年以内」
Competitor(競合)他社検討状況は?「A社とB社を検討中」
Human resources(人材)担当部署は?「情報システム部」

BANTCHは、新規顧客の開拓や大型案件の初期段階において、より包括的な営業戦術を展開する際に特に効果を発揮します。

MEDDIC

MEDDICは、BtoB営業における高度な戦術フレームワークとして注目されており、複雑な購買プロセスを持つ大規模案件に特に有効です。

このフレームワークは、Metrics(指標)、Economic Buyer(経済的購買者)、Decision Criteria(意思決定基準)、Decision Process(意思決定プロセス)、Identify Pain(課題の特定)、Champion(支援者)の6つの要素で構成されます。

MEDDICが有効な理由は、顧客の購買プロセスを深く理解し、精度の高い戦術立案を可能にする点です。 これにより、高額案件の成約率が向上し、営業サイクルの短縮も実現可能です。

具体的な戦術的アプローチの例としては、以下のようなものがあります。

要素戦術的アプローチ具体例
Metrics(指標)ROIの定量化「導入により年間1億円のコスト削減」
Economic Buyer(経済的購買者)最終決定者の特定「CIOの〇〇氏が予算承認権を持つ」
Decision Criteria(意思決定基準)選定基準の把握「セキュリティ対策が最重要項目」
Decision Process(意思決定プロセス)購買プロセスの理解「IT部門→財務部門→経営会議の3段階承認」
Identify Pain(課題の特定)潜在的課題の発見「現行システムの保守コストが年々増加」
Champion(支援者)内部支援者の育成 「プロジェクトマネージャーの〇〇氏が推進派

MEDDICは、複雑で長期的な意思決定プロセスを伴う大型案件や、エンタープライズ向け営業で特に効果を発揮します。

SPIN

SPINは、BtoB営業で効果的な質問技法を体系化したフレームワークで、Situation(状況)、Problem(問題)、Implication(影響)、Need-payoff(解決策の価値)の4つの要素を通じて、顧客の潜在的なニーズを引き出すことを目的としています。

SPINが有効な理由は、段階的な質問を用いて顧客が気づいていない課題や、その解決策の価値を明確にすることで、より的確な提案が可能となり、成約率の向上に寄与するからです。 具体的な活用例は以下のようになります。

要素質問例 得られる情報
Situation(状況)現在のシステム運用体制は?IT部門5名で対応中
Problem(問題)運用で困っていることは?夜間対応が負担
Implication(影響)その問題がどんな影響を及ぼしていますか?社員の離職率が上昇
Need-payoff(解決策の価値)解決した場合、どのような価値がありますか?夜間対応の負担軽減による業務効率の向上と離職率の低下

SPINは、顧客が課題を明確に認識していない場合や、製品・サービスの価値を効果的に伝える必要がある場面で特に効果を発揮します。

AIDMA

AIDMAは、BtoB営業において顧客の購買行動プロセスを理解し、各段階に適した戦術を設計するためのフレームワークです。

このフレームワークは、Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の5つの要素で構成されており、顧客の心理変化に合わせた営業アプローチを行うのに適しています。

AIDMAが有効な理由は、顧客の購買意思決定プロセスに沿って各段階で効果的なアプローチが取れるため、ニーズに即した情報提供や提案が可能となり、成約率が向上する点にあります。 具体的な活用例は以下の通りです。

要素段階具体的なアプローチ
Attention(注意)認知度向上業界セミナーでの講演や展示会での出展を通じ、顧客に認知させる
Interest(関心)関心を喚起成功事例のケーススタディを提供し、顧客の興味を引き出す
Desire(欲求)欲求の創出無料トライアルを提供し、製品やサービスを実際に体験させる
Memory(記憶)記憶に残す定期的なフォローアップメールを送り、顧客にサービスを意識させ続ける
Action(行動) 購買促進期間限定の特別オファーを提示し、購買行動を促す

AIDMAは、新規顧客の開拓から成約までの長期的なプロセスを設計する際や、複雑な製品・サービスの販売において、顧客の心理に沿った営業戦術を実行するために特に効果的です。

FABE分析

FABE分析は、BtoB営業における効果的な提案構築と顧客説得のためのフレームワークで、Feature(特徴)、Advantage(優位性)、Benefit(利益)、Evidence(証拠)の4つの要素から成り立っています。

FABE分析が有効な理由は、製品の特徴から顧客にとっての具体的な利益までを体系的に説明できる点です。 これにより、顧客のニーズに即した提案が可能となり、説得力が増し、成約率の向上が期待できます。 具体的な活用例は以下の通りです。

要素ポイント具体的な情報収集
Feature(特徴)製品の特徴「AI搭載の予測分析機能」
Advantage(優位性)競合との差別化「業界最高精度99.9%」
Benefit(利益)顧客にとっての利益 「在庫コストを20%削減」
Evidence(証拠)証拠や実績「A社での導入実績あり」

FABE分析は、特に高機能な製品やサービスの価値を明確に伝えたい場合や、競合との差別化が求められる場面で有効です。

DMUマップ

DMUマップは、BtoB営業における顧客組織の意思決定構造を可視化するためのフレームワークであり、Decision Making Unit(意思決定ユニット)の頭文字を取っています

DMUマップが効果的な理由は、意思決定に関わる人物や部門の役割や影響力を明確にできるため、組織内でキーパーソンに的確なアプローチが可能になる点にあります。

これにより、より精度の高い戦略を立案でき、成約率の向上が期待できます。 具体的な活用例は以下の通りです。

役割部門/役職 アプローチ戦術例
決定者経営企画部長「ROI重視の提案」
推薦者IT部門マネージャー 「技術的メリットの説明」
利用者営業部門スタッフ「使いやすさをデモで説明」
影響者財務部門課長「コスト削減効果を提示」
購買担当購買部門担当者 「納期や支払い条件の交渉」

DMUマップは、特に大規模な組織に対する提案や、複数部門が関与する製品・サービスの販売で、組織内の複雑な意思決定プロセスを理解し、的確な営業戦略を実行する際に効果を発揮します。

営業戦略にフレームワークを活用するときの注意点

フレームワークを効果的に使いこなすためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。 ここでは、フレームワーク活用時に陥りがちな問題と、その対策について解説します。

フレームワークへの過度の依存を避ける

営業戦略にフレームワークを活用する際、最も重要なのは「フレームワークへの過度の依存を避ける」ことです。 フレームワークはあくまで思考や計画を整理するための道具に過ぎず、現場の状況や顧客のニーズを正確に反映できるわけではないからです。

例えば、新規営業においては、顧客の業界や市場の動向が絶えず変化します。そのため、フレームワークに頼りすぎると、柔軟な対応ができず、ビジネスチャンスを逃す可能性があります。

したがって、フレームワークを参考にしつつ、現場の状況に応じた柔軟な戦略を立てることが重要です。

市場の特殊性を考慮する

営業戦略にフレームワークを活用する際は、「市場の特殊性を考慮する」ことが不可欠です。 なぜなら、業界や市場ごとに異なるニーズやトレンドが存在し、フレームワークだけではそれらを完全に反映できないからです。

例えば、IT業界では技術革新のスピードが速いため、標準的なフレームワークに基づいた戦略だけでは市場の変化に追いつけないことがあります。 同様に、不動産業界では地域や顧客層によるニーズの違いが大きく影響します。

したがって、フレームワークを活用する際は、市場の特殊性をしっかりと考慮し、その都度調整を行うことが重要です。

フレームワークは複数組み合わせて使用する

営業戦略にフレームワークを活用する際、「フレームワークは複数組み合わせて使用する」ことが重要です。 一つのフレームワークだけでは市場や競合の多様な要素を網羅できないため、戦略の精度が不足する可能性があるからです。

例えば、3C分析で市場の現状を把握しつつ、SWOT分析で自社の強みや弱みを確認することで、より総合的な戦略立案が可能となります。 そのほかのフレームワークの組み合わせ一覧は、以下の通りです。

フレームワークの組み合わせ一覧特徴
3C分析 + SWOT分析 + STP分析市場分析(3C)と自社の強み・弱み(SWOT)を元に、ターゲット市場を明確化(STP)
SWOT分析 + PEST分析内部要因(SWOT)と外部環境(PEST)を同時に把握し、戦略を最適化
4P分析 + バリューチェーン分析 製品や価格戦略(4P)と価値創造プロセス(バリューチェーン)を組み合わせ、競争優位を強化
ファイブフォース分析 + VRIO分析競争環境の評価(ファイブフォース)と持続可能な競争優位性(VRIO)を確認し、長期的な戦略を策定

フレームワークを組み合わせて使うことで、より効果的な営業戦略を構築できます。

営業戦略のフレームワークでよくある質問

営業戦略のフレームワークでよくある質問を2点紹介します。

営業戦略のフレームワーク活用で利用できるテンプレートはある?

営業戦略のフレームワークを効果的に活用するためには、テンプレートを利用するのが非常に有効です。 テンプレートを使うことで、戦略の立案プロセスを体系化し、効率的に進めることができます。

例えば、Microsoftが提供しているサイトでは、営業戦略に使えるテンプレートが多数用意されています。

営業戦略のフレームワークを学ぶのにおすすめの本はある?

営業戦略のフレームワークを体系的に学ぶために、おすすめの書籍として「ビジネスフレームワーク図鑑: すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70」があります。

この本では、営業戦略に活用できる70のフレームワークが紹介されており、具体的な活用方法もわかりやすく解説されています。 新規営業が重要なBtoBビジネスにおいて、フレームワークを実践的に活用したい方には、非常に参考になる一冊です。

まとめ|自社の状況に応じた適切なフレームワークの選定が成功の鍵

本記事では、BtoB営業における効果的な営業戦略の立案に役立つ19のフレームワークを紹介しました。特に新規開拓が重要な業界において、これらのフレームワークを活用することで、戦略の精度を高め、成果を最大化できることを詳しく解説しています。

各フレームワークの特性と有効な場面、さらにはフレームワークを組み合わせることで得られる相乗効果についての具体的な事例を挙げ、実践的なアプローチを紹介しています。

この記事の内容を基に、自社の営業戦略を再構築することで、競争力を高めることができるでしょう。 特に、IT、製造業、人材、不動産など多様な業界において、限られたリソースの中で最大の効果を引き出したい企業にとって、フレームワークの活用は重要なポイントとなります。

さらに、CLF PARTNERS株式会社では、これらのフレームワークを活用した戦略立案から実行までを包括的にサポートしています。 営業戦略の立案に課題を感じている方や、新規営業を強化したい方は、ぜひCLF PARTNERSにご相談ください

営業の悩みをプロに相談してみませんか?

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この記事の監修者

CLF PARTNERS株式会社
代表取締役社長 松下 和誉

大学卒業後、大手総合系コンサルティングファームに入社。最年少で営業マネジャーに就任。中小企業から大手企業まで幅広くコンサルティング業務を実施。また、文部科学省からの依頼を受け、再生機構と共に地方の学校再生業務にも従事。 その後、米Digital Equipment Corporation(現ヒューレットパッカード)の教育部門がスピンアウトした世界9ヵ国展開企業のJAPAN営業部長代行として国内の最高売上に貢献。 現在は関連会社12社の経営参画と支援を中心に、グループの軸となるCLF PARTNERS㈱ではVC出資ベンチャー企業、大企業の新規事業の支援に従事
公式Xアカウント:https://x.com/clf_km


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