アポ・商談設計
BtoB営業の失注理由1位は「価格」しかしデータが示す本当の敗因は”差別化の不全”だった【2026年調査】
この調査でわかったこと(要点)
- BtoB営業の失注理由は「価格が高かった」「競合と差別化できなかった」が同率22.0%で最多(NEXER Group×CLF PARTNERS共同調査、2026年7月実施)
- 一方、受注の決め手は「顧客の課題理解」54.0%、「信頼関係」52.0%。「価格の優位性」は26.0%にとどまる
- 競合に負けた決め手は「価格」46.0%と突出——受注は価格で決まらないのに、失注は価格に帰属される”ねじれ”が存在する
- CLF PARTNERSの考察:「価格で負けた」は敗因ではなく、差別化が伝わらなかった商談の最終症状。対策は値下げではなく、課題理解と価値の言語化のプロセス化である
※本調査はBtoB営業経験者50名を対象とした探索的な実態調査です。数値は傾向としてご覧ください。
「今回も価格で負けました」——BtoB営業の失注報告で最も多く聞かれる言葉です。しかし、この報告をそのまま信じて値下げや価格見直しに走る組織は、受注率を改善できません。
CLF PARTNERS株式会社は、株式会社NEXER Groupと共同で、BtoB営業の担当経験者を対象に「法人営業で受注できる営業の条件に関するアンケート」を実施しました。データを丁寧に読み解くと、「価格で負けた」という認識そのものに構造的な歪みがあることが見えてきます。本レポートでは調査結果と、営業支援の現場に立つCLF PARTNERSとしての考察をお届けします。
調査概要
| 調査名 | 法人営業で受注できる営業の条件に関するアンケート |
| 調査主体 | 株式会社NEXER Group × CLF PARTNERS株式会社(共同調査) |
| 調査対象 | 事前調査で「BtoB営業の担当経験がある」と回答した全国の男女 |
| 調査方法 | インターネットアンケート |
| 調査期間 | 2026年7月16日〜7月23日 |
| 有効回答数 | 50サンプル |
本調査の位置づけ——サンプル数について
本調査の有効回答数は50件です。統計的な代表性を主張できる規模ではないため、本レポートでは個々の数値の細かな差ではなく、回答の構造(受注要因と失注要因の非対称性など)から読み取れる傾向に焦点を当てて解説します。
あえて言えば、n=50でも「受注の決め手は課題理解54.0%、失注の決め手は価格46.0%」という大きな乖離は、誤差では説明しにくい明確なコントラストです。加えて本レポートの考察は、調査データ単体ではなく、CLF PARTNERSが営業支援の現場で数多くの商談・失注分析に接してきた定性的な知見と突き合わせて記述しています。数値は「傾向を示すもの」、考察は「現場知見による検証を経たもの」としてお読みください。なお本調査は第1弾であり、今後もテーマ・対象を広げながら継続的に調査を実施していく予定です。
BtoB営業の受注を決めた要因は?——1位は「顧客の課題理解」54.0%
受注できた商談で顧客の意思決定を左右した要因(複数回答)は次のとおりです。

注目すべきは、「価格面での優位性」は26.0%と最下位である点です。受注の決め手として営業担当者が挙げたのは、価格ではなく「課題理解」と「信頼関係」でした。
BtoB営業の失注理由は?——「価格」と「差別化不足」が同率22.0%で1位
一方、失注した商談の要因は次のとおりです。

さらに「競合に負けた商談で他社が選ばれた決め手」では、「価格」が46.0%と突出しました(費用対効果16.0%、顧客課題への理解度8.0%、営業担当者への信頼8.0%)。
自由回答には次のような声が寄せられています。
「技術では負けていないので価格しかないと思う。」(50代男性)
「顧客はトータルで考えるので、一部だけの説明では納得してくれない。」(50代男性)
最も効果的な営業手法は?——「対面商談」が76.0%で圧倒的多数
最も効果的だと感じる営業手法は「対面での商談」が76.0%(複数手法の組み合わせ10.0%、電話営業8.0%)。

また「顧客に選ばれる法人営業の条件」(複数回答)は、「顧客の課題を深く理解する営業」54.0%、「顧客ごとに提案内容を変えられる営業」42.0%、「商品説明だけでなく解決策を提示する営業」42.0%、「費用対効果を具体的に示す営業」40.0%と続きました。

CLF PARTNERSの考察:「価格で負けた」という失注報告は、なぜ信じてはいけないのか
ここからは、調査データを営業支援の現場知見と突き合わせた考察です。前述のとおりサンプル数の限られた調査であるため、個々の数値そのものより、数値の”あいだ”に現れた構造——そしてそれが私たちの支援現場で日常的に観察される実態と一致すること——に注目して読み解きます。
考察1:データに現れた「勝ちは実力、負けは価格」という帰属の非対称性
この調査で最も重要なのは、同じ回答者の中で、受注と失注の説明が非対称になっていることです。
- 受注したとき:決め手は「課題理解」54.0%・「信頼関係」52.0%(=自分の実力)。「価格」はわずか26.0%
- 失注したとき:決め手は「価格」46.0%(=自分ではどうにもならない外部要因)。「課題理解の不足」は8.0%しか挙がらない
受注は自らのスキルに、失注は価格という外部要因に帰属する——心理学で言う自己奉仕バイアス(self-serving bias)そのものの構造がデータに表れています。「顧客課題への理解度で負けた」と認めた回答がわずか8.0%しかないのは、課題理解で負けていないからではなく、課題理解の不足は本人からは見えないからです。価格は見積書に数字として残りますが、「顧客を理解できていなかったこと」は記録に残りません。
この非対称性は、私たちが営業支援の現場で失注分析を行う際にもほぼ例外なく観察されるパターンであり、サンプル数の多寡にかかわらず再現性の高い構造だと考えています。ここから導かれる実務上の結論は明確です。失注理由を営業担当者の自己申告だけで集計している組織は、必ず「価格」が敗因の1位になり、値下げという誤った処方箋に向かいます。失注分析は、顧客への直接ヒアリングや第三者によるロスレビューで補正しなければ、意思決定の材料になりません。
考察2:「価格22.0%」と「差別化不足22.0%」は、同じ病気の2つの症状である
失注理由の同率1位となった「価格」と「差別化不足」は、別々の問題ではありません。差別化が顧客に伝わらなかった商談では、顧客が各社を比較できる軸が価格しか残らない——つまり「価格で負けた」は、差別化不全という病気が最終段階で見せる症状です。
自由回答の「技術では負けていないので価格しかないと思う」(50代男性)は、この構造を一言で表しています。技術で負けていないのに価格で負けるのは、技術の差が顧客の意思決定の言葉(業務がどう変わるか、いくら儲かるか・削減できるか)に翻訳されていないからです。差別化とは商品スペックの差ではなく、「この課題を持つ貴社にとって、なぜ自社なのか」を語れるかどうかの差です。
逆に、価格が高くても選ばれた例が自由回答にあります。
「見た目の価格は高いが、アフターサポートやフォローを含めて長期的にみるとお得ですよという提案(が刺さった)。」(40代男性)
比較軸を「初期価格」から「トータルの費用対効果」へずらした瞬間、価格勝負から抜け出せる——「費用対効果を具体的に示す営業」が選ばれる条件の上位(40.0%)に入っていることとも整合します。
考察3:「対面76.0%」の本質は対面そのものではなく、”課題理解と信頼が生まれる情報量”にある
「対面商談が最も効果的」76.0%という結果を、「オンラインをやめて訪問を増やすべき」と読むのは早計です。受注要因の上位が「課題理解」54.0%と「信頼関係」52.0%だったことを踏まえると、対面が支持される理由は、課題の深掘りと信頼形成という受注の2大要因を満たす情報量が最も多いチャネルだからだと解釈できます。
つまり本質は手段(対面/オンライン)ではなく、どのチャネルであれ「課題を深掘りし、信頼を築くプロセス」を商談に組み込めているかです。オンライン商談でも、事前の課題仮説と初回商談での課題合意ができていれば、対面と同等の受注要因を作れます。ここを個人の営業センスに委ねている組織と、プロセスとして標準化している組織の差が、受注率の差になります。

受注率を高めるために営業組織がやるべき3つのこと
- 失注分析を「自己申告制」からロスレビューへ変える。失注案件の一定数について顧客に直接理由をヒアリングする、または第三者がレビューする仕組みを持つ。「価格」という報告の裏にある差別化不全・課題理解不足を特定できて初めて、正しい対策が打てます。
- 商談前の課題仮説づくりをプロセス化する。受注要因1位の「課題理解」(54.0%)は才能ではなく準備で再現できます。業界・顧客ごとの課題仮説シートを整備し、初回商談を「説明の場」ではなく「課題の合意形成の場」に変えることが第一歩です。
- 「なぜ自社か」を顧客の損益の言葉で言語化する。商品説明資料とは別に、セグメント別の差別化トーク(Why us)と費用対効果の提示テンプレートを用意し、比較軸を初期価格からトータルの価値へ移します。
よくある質問(FAQ)
Q. BtoB営業で最も多い失注理由は何ですか?
A. NEXER GroupとCLF PARTNERSの共同調査(2026年7月実施)では、「価格が高かった」と「競合との差別化ができなかった」が同率22.0%で最多でした。ただし受注の決め手として「価格の優位性」を挙げた回答は26.0%と最下位であり、価格は失注の根本原因ではなく、差別化が伝わらなかった結果である可能性が高いと考えられます。
Q. BtoB営業で受注率を高めるために最も重要な要因は何ですか?
A. 同調査では、受注できた商談の決め手は「顧客の課題を正しく理解できていた」54.0%、「担当者との信頼関係を築けた」52.0%が上位でした。商談前の課題仮説づくりと、初回商談での課題の合意形成をプロセス化することが受注率向上の起点になります。
Q. 価格競争に巻き込まれないためにはどうすればよいですか?
A. 比較軸を「初期価格」から「費用対効果・トータルコスト」へ移すことが有効です。調査でも「費用対効果を具体的に示す営業」が選ばれる営業の条件の上位(40.0%)に入っており、サポートや長期効果まで含めた提案が価格勝負からの脱出口になります。
Q. 対面とオンライン、どちらの商談が効果的ですか?
A. 調査では76.0%が「対面での商談」を最も効果的と回答しました。ただしその理由は課題の深掘りと信頼形成のしやすさにあり、オンラインでも事前の課題仮説と課題合意のプロセスを組み込むことで同様の効果を狙えます。
Q. サンプル数50件の調査結果は信頼できますか?
A. 本調査は統計的な代表性を主張するものではなく、BtoB営業経験者の実感から傾向を捉える探索的調査です。本レポートの考察は、数値単体ではなく、CLF PARTNERSが営業支援の現場で行ってきた多数の商談・失注分析の知見と突き合わせて記述しています。また本調査は第1弾であり、今後も対象を広げて継続的に調査を行う予定です。
この記事の監修者

CLF PARTNERS株式会社
代表取締役社長 松下 和誉
大学卒業後、大手総合系コンサルティングファームに入社。最年少で営業マネジャーに就任。中小企業から大手企業まで幅広くコンサルティング業務を実施。また、文部科学省からの依頼を受け、再生機構と共に地方の学校再生業務にも従事。 その後、米Digital Equipment Corporation(現ヒューレットパッカード)の教育部門がスピンアウトした世界9ヵ国展開企業のJAPAN営業部長代行として国内の最高売上に貢献。 現在は関連会社12社の経営参画と支援を中心に、グループの軸となるCLF PARTNERS㈱ではVC出資ベンチャー企業、大企業の新規事業の支援に従事
公式Xアカウント:https://x.com/clf_km
CLF PARTNERS株式会社は、戦略立案から商談同行、営業組織の仕組みづくりまでを一気通貫で支援する営業支援会社です。
「失注理由の大半が”価格”になっている」「提案の差別化ができていない」——そんな課題をお持ちの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の失注構造と営業プロセスを無料で診断いたします。

出典・引用について
本調査は株式会社NEXER Groupとの共同調査です。
元リリース:PR TIMES掲載ページ
本レポートの数値・グラフは、出典「NEXER Group×CLF PARTNERS調べ」と本ページへのリンク設置を条件に、転載・引用いただけます。
