あるべき営業組織とは?強い営業組織に改革するためのポイント6選

「目標を達成できる人が限られている」

「マネージャーが疲弊し、現場が回っていない」

「育成や仕組み化に手が回らず、属人的な営業から抜け出せない」

こうした課題を抱える営業組織は少なくありません。個人の頑張りに依存した体制では、市場環境の変化や人材の入れ替わりに対応できず、成長が頭打ちになってしまいます。

一方で、強い営業組織は「仕組み」「人材」「文化」が連動し、個人の力に頼らずとも安定した成果を生み出せる構造を持っています。重要なのは、場当たり的な対処ではなく、組織全体を構造的に見直すことです。

そこで本記事では、強い営業組織を作るために押さえておきたい以下のポイントを解説します。

  • 営業組織の基本構造と役割
  • 営業組織によくある課題とその背景
  • 強い営業組織に共通する6つの特徴
  • 組織を再構築するための具体的な5ステップ
  • 外部支援を活用した組織強化の進め方

CLF PARTNERSでは、営業戦略の策定から現場支援、マネジメント体制の整備、人材育成まで、営業組織の強化を一貫してサポートしています。

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  • 組織全体の営業力を底上げしたい
  • 属人化を解消し、安定した成果を出せる体制を作りたい
  • マネジメント層の育成と組織体制の両面を強化したい

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営業組織とは?定義と役割

営業組織とは、単に営業担当者が集まったグループではなく、企業の売上目標を達成するために戦略的に設計された仕組みそのものを指します。企業の成長エンジンとして、市場や顧客と直接向き合い、収益を生み出す最前線の役割を担っています。

しかし、その効果を最大化するには、組織の構造と各階層が持つべき機能を正しく理解することが不可欠です。まずは、営業組織を構成する基本的な構造と、それぞれが果たすべき役割・機能について見ていきましょう。

営業組織の基本構造

営業組織の基本構造

営業組織は、「戦略層」「マネジメント層」「実行層」の3階層で構成されるのが一般的です。この構造により意思決定から実行までが明確になり、組織全体の効率性と再現性が高まるためです。

具体的には、以下のような役割分担がなされています。

  • 戦略層:経営方針に基づき営業戦略を策定し、目標や方向性を定める
  • マネジメント層:戦略を実行可能な計画に落とし込み、チームを管理・育成する
  • 実行層:顧客と直接向き合い、営業活動を通じて成果を創出する

この3層が連動することで、組織として一貫性のある営業活動が可能になります。しかし実際には、各層の役割が曖昧だったり、連携が不足していたりするケースも少なくありません。

そのため、強い営業組織を作るには、まずこの基本構造を正しく理解し、各層が機能する体制を整えることが不可欠です。

営業組織の役割と機能

営業組織の役割は、企業の売上目標を達成し、持続的な成長を実現することです。なぜなら、営業組織は顧客と企業をつなぐ最前線であり、市場の変化を捉えながら収益を生み出す中核的な存在だからです。

具体的には、以下のような機能を担っています。

  • 顧客開拓と関係構築:新規顧客の獲得と既存顧客との信頼関係の強化
  • 市場情報の収集と分析:顧客ニーズや競合動向を把握し、戦略に反映する
  • 提案活動と契約獲得:顧客課題に対するソリューション提案と商談の推進
  • 組織力の向上:人材育成やナレッジ共有を通じた組織全体の底上げ

これらの機能が連携することで、単なる売上追求ではなく、顧客価値の創造と組織の成長を両立できます。

営業組織によくある課題

営業組織によくある課題

営業組織の問題は、個人のスキルや努力だけでは解決できない「構造的な連鎖」にあります。「人」「仕組み」「文化」といった複数の要素が複雑に絡み合うため、全体を整理して見直すことが重要です。

次に主な課題を整理します。

育成が機能していない

多くの営業組織では、育成が場当たり的になり、体系的な人材開発が実現できていません。その背景には、日々の業務に追われる中で育成の優先順位が下がり、OJTや単発研修に依存する状態が常態化しているという問題があります。

中でも深刻なのは、以下のような課題です。

  • マネジメント層の育成不足:プレイヤーとして優秀であっても、マネジメントスキルを習得しないまま昇格している
  • 育成ノウハウの属人化:優秀な社員の暗黙知が共有されず、組織全体に浸透していない
  • フィードバック機会の欠如:多忙を理由に、個別指導やフォローが後回しになっている

こうした状況の結果、スキルにばらつきが生じ、特定の人材に依存する体質が組織に固定化してしまいます。

ゆえに、育成を機能させるには、マネジメント層を含めた育成体制の整備と、計画的な人材開発の仕組みづくりが不可欠です。

採用難による人材不足

多くの営業組織が、採用難による慢性的な人材不足に直面しています。これは、営業職の有効求人倍率が1.02倍と、全職業平均の1.19倍を下回っており求職者から敬遠される傾向が続いているためです。

この状況の背景には、以下のような構造的課題があります。

  • 営業職のイメージ低下:ノルマや長時間労働といったネガティブな印象が根強く残っている
  • 採用要件の高度化:市場環境の変化により、求められるスキル水準が年々上昇している
  • 定着率の低さ:育成体制の不備や職場環境の課題により、早期離職が多発している

その結果、既存メンバーの業務負担が増え、育成やマネジメントに割ける時間が減少。これがさらなる離職を招くという悪循環に陥っています。

したがって、採用力を高めるには、職場環境の改善とともに、組織としての魅力を高め、定着率を向上させるための戦略的な取り組みが欠かせません。

参考:ハローワーク情報サイト~ハロワのいろは~|職業別の有効求人倍率

個々のスキル差が大きい

多くの営業組織では、メンバー間のスキルに大きな差があり、成果が特定の人材に偏る傾向があります。これは、体系的な育成の仕組みが整っておらず、成長が個人の経験や素質に委ねられているためです。

具体的には、以下のような課題が見受けられます。

  • トップセールスと平均層のギャップ:一部のハイパフォーマーが組織全体の成果を支えている
  • スキルの可視化不足:メンバーの能力を客観的に把握できる評価基準が存在しない
  • ノウハウの属人化:優秀な営業の暗黙知が共有されず、再現性が確保されていない

このような状況が続くと、組織全体の生産性が向上せず、特定の人材に業務負担が集中。結果として、離職リスクの増加にもつながります。

したがって、スキル格差を是正するには、個々の強みと課題を可視化し、計画的な育成プログラムの構築と、成果を再現可能にする仕組みづくりが不可欠です。

KPIや管理体制が機能していない

多くの営業組織では、KPIや管理体制が形骸化し、実効性を失っています。これは、目標設定が現場の実態と乖離していたり、データが活用されず、報告業務が形式的に行われていることが主な原因です。

具体的には、以下のような課題が発生しています。

  • KPIの設計ミス:結果指標のみに偏り、行動指標が設定されていないため、改善に結びつかない
  • データの未活用:SFAやCRMへの入力が目的化し、分析や振り返りが行われていない
  • 現場との乖離:現場の声を反映しない一方的な目標設定により、達成への納得感が欠如
  • PDCAサイクルの機能不全:計画と実行が分断され、改善活動が継続的に行われていない

その結果、メンバーは目標に納得できず、管理業務が負担となって営業活動に集中できない状態が生じます。

KPIを実効的に機能させるには、現場の実態に即した指標設計と、データを活用した改善プロセスの構築が不可欠です。

チーム間の連携や心理的安全性が欠如している

営業組織において、チーム間の連携不足や心理的安全性の欠如が深刻化しています。これは、個人の目標達成が重視され、情報共有や相互支援が軽視される文化が根付いていることが原因です。

実際には、以下のような課題が存在します。

  • 情報の囲い込み:成功事例やノウハウが個人に留まり、組織全体に共有されない
  • 相談しづらい職場環境:失敗を許容しない風土により、悩みや課題が表に出にくい
  • 部門間の分断:営業とマーケティング、インサイドセールスなど他部門との連携が機能不全
  • 孤立するメンバー:チームとしての一体感が乏しく、各人が独立して活動している

こうした状態では、組織全体に知見が蓄積されず、メンバーのモチベーション低下や離職につながります。

連携と心理的安全性を高めるには、オープンなコミュニケーション文化の醸成と、個人だけでなくチームの貢献を評価する制度の整備が不可欠です。

強い営業組織とは?特徴6選

成果を出し続ける営業組織は、明確な戦略、優秀なマネジメント、データ活用、育成文化など、いくつかの共通点を持っています。これらの特徴を理解することで、自社の改善点も見えてきます。具体的な6つの要素を見ていきましょう。

① 優秀な営業マネージャーの存在

強い営業組織には、優秀な営業マネージャーが不可欠です。営業力強化において、マネジメント力強化を重視する企業が31.1%に上り、マネージャーの育成が組織成果に直結することが明らかになっているためです。

優秀なマネージャーには、以下のスキルが求められます。

  • 業績目標の達成:チーム全体を俯瞰し、戦略的に目標達成へ導く力
  • 人材育成:コーチングを通じてメンバーの能力を最大限に引き出す力
  • リーダーシップ:自ら率先して行動し、模範を示す姿勢
  • 問題解決力:日々の課題に対して迅速かつ的確な判断を下す力

これらを備えたマネージャーは、個人の成果だけでなく、組織全体のパフォーマンスを底上げします。実際に、マネジメント力の強化に注力している企業ほど、安定した業績を維持できる傾向があります。

したがって、強い営業組織を作るには、まず優秀なマネージャーの育成と配置が最優先事項となります。

参考:【独自調査レポート】営業力強化のために重視している施策1位は「メンバーの営業スキル強化」 〜営業力に差をつけるのは「ロールプレイング」の実施〜

② 明確な目標設定と戦略立案

強い営業組織を築くには、明確な目標設定と実現可能な戦略立案が不可欠です。

というのも、64.4%の営業管理職が「現在の営業目標は高すぎる」と感じている一方で、約7割が「営業時間の確保によって目標達成率が110%以上向上する」と期待しており適切な目標と戦略の有無が成果に大きな影響を与えることが明らかになっているためです。

参考:PR TIMES

SMARTな目標設定

効果的な目標を設定するには、以下の5つの要素(SMART)を満たす必要があります。

  • Specific(具体的):誰が見ても内容が明確である
  • Measurable(測定可能):進捗が数値で確認できる
  • Achievable(達成可能):現実的に達成可能なレベルである
  • Relevant(関連性):組織全体の目標と連動している
  • Time-bound(期限):明確な達成期限がある

例:「新規顧客を増やす」ではなく、「3ヶ月以内に、既存顧客からの紹介を活用して、IT業界の中小企業30社と新規契約を締結する」など。

このように具体性を持たせることで、チームの方向性が揃い、行動計画や進捗確認も容易になります。

短期・中期・長期の目標バランス

強い営業組織は、時間軸の異なる3種類の目標をバランスよく設定しています。短期だけでは戦略的成長が見込めず、長期だけでは日々のモチベーション維持が難しいためです。

  • 短期目標(1〜3ヶ月):「今月中に新規アポイントを50件獲得する」など、日々の活動に直結
  • 中期目標(半年〜1年):「今年度末までに新規顧客からの売上を20%増加」など、期間を区切った成果目標
  • 長期目標(2〜5年):「3年以内に市場シェアを15%から25%に拡大」など、中長期的な成長戦略

この3層構造により、メンバーは日々の行動に意義を見出しながら、組織のビジョンにも貢献できます。

 戦略的計画の立案

目標の達成には、具体的な道筋を示す戦略が必要です。 目標だけでは「何をどうすべきか」が不明瞭で、現場が迷走してしまう恐れがあります。

戦略的計画に含めるべき要素は以下の通りです。

  • ターゲット市場の選定:「従業員100〜300人規模の製造業」など、注力すべき市場を明確にする
  • 営業チャネルの選択:「オンラインセミナー+対面訪問」のように、顧客接点を最適化する
  • マーケティングとの連携:「ウェビナーでリード獲得→営業がクロージング」など、部門を越えた協力体制を構築

これらを組み合わせることで、組織全体が一貫した方向性を持ち、限られたリソースも効率的に活用できます。

③ 効果的なコミュニケーション文化

強い営業組織には、効果的なコミュニケーション文化が根付いています。その理由は明確で、8割以上の企業が社内コミュニケーションに課題を抱えており、この課題を克服できるか否かが、組織力の差を生む決定的な要因となっているためです。

参考:PR TIMES

オープンで透明なコミュニケーション環境の構築

営業組織の強化には、情報や課題を自由に共有できるオープンな環境が不可欠です。営業現場では日々さまざまな課題が発生しますが、それを個人で抱え込むと問題が表面化せず、組織の成長が停滞してしまいます。

効果的な取り組みとして、以下が挙げられます。

  • 定期的な全体ミーティング:週1回、課題や成功事例を共有する場を設ける
  • 失敗を歓迎する雰囲気:失敗を責めるのではなく、学びの機会として捉える文化を醸成
  • 心理的安全性の確保:率直な意見や悩みを自由に話せる風土をつくる

これにより、チーム内の信頼関係が強化され、問題の早期発見と迅速な解決、さらにはベストプラクティスの共有が進みます。オープンなコミュニケーション環境は、強い営業組織の土台といえます。

フィードバック文化の定着

強い営業組織では、フィードバックが一過性ではなく、日常的に行われています。 適切なフィードバックは、個人の成長を促進し、組織全体のスキル向上につながります。

具体的な施策は以下の通りです。

  • 定期的な1on1ミーティング:月1回、上司と部下が率直に話し合う場を設定
  • 行動ベースでの具体的な指摘:「プレゼンは良かったが、次は顧客の反応を見て調整するとさらに良くなる」など具体的なアドバイス
  • 双方向の対話の場:キャリアや悩みについても話し合える関係性を築く

こうした継続的なコミュニケーションにより、メンバーは自分の強みと課題を客観的に把握し、成長に繋げられます。また、上司側も部下の本音や状況を深く理解し、適切なサポートを提供できます。

コミュニケーションツールの戦略的活用

ハイブリッドワークが普及する現在、営業組織にとってデジタルツールの活用は不可欠です。時間や場所の制約を超えて柔軟に連携できる体制を構築することで、組織力を高めることが可能です。

活用例は以下の通りです。

  • Slack / Teams:「#営業_日報」「#競合_情報」など、トピックごとのチャンネルで情報を即時共有
  • Zoom等のオンライン会議:全国の営業メンバーが定期的に集まり、目標や成果を共有して一体感を醸成
  • リアルタイムな成果共有:「A社との商談成立!キーポイントは〇〇」など、即時にノウハウを展開

これらの取り組みによって情報の属人化を防ぎ、組織全体でナレッジを活用することができます。
つまり、コミュニケーションツールの戦略的活用は、強い営業組織を支えるインフラとして機能します。

④ データに基づく意思決定

強い営業組織は、勘や経験だけに頼らず、データに基づいた意思決定を行っています。データを活用することで現状を客観的に把握でき、再現性のある成果につなげられるからです。

属人的な営業から脱却し、組織として安定した成長を実現するには、データドリブンな文化の醸成が不可欠です。

KPI管理による可視化と改善

KPIは、営業活動のプロセスと成果を数値化するための重要な指標です。 「測定できないものは改善できない」という原則のもと、KPIを適切に設計・運用することで、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能になります。

主なKPIの種類は以下の通りです。

  • プロセス指標:新規アポイント獲得数、商談実施件数、提案書提出数など
  • 成果指標:新規顧客獲得数、商談成約率、受注金額など
  • 顧客満足指標:顧客満足度、リピート率、NPS(ネット・プロモーター・スコア)など

これらのKPIを週次・月次でモニタリングし、「なぜ成約率が下がったのか」「どうすればアポイント数を増やせるか」といった具体的な議論を行うことで、課題が明確になり、的確な改善策の立案につながります。

SFA・CRMツールの戦略的活用

SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)は、データドリブンな営業活動を実現するための中核的なツールです。

これらのツールを活用することで、営業プロセスの「見える化」が進み、戦略的かつ迅速な意思決定が可能になります。

主な活用効果は以下の通りです。

  • リアルタイムでの進捗管理:案件の状況を常時把握し、リソース配分を最適化
  • 顧客情報の一元管理:過去の対応履歴を全員で共有し、属人化を防止
  • 分析レポートの自動化:定型業務を効率化し、分析や戦略立案に注力
  • AIの活用:成約確率の高い案件を予測し、次の最適なアクションを提示

例えば、Salesforceのようなツールを導入すれば、マネージャーはリアルタイムで進捗を把握し、適切なタイミングで的確な指示やサポートを提供できます。また、AIによる分析で「注力すべき案件」が明確になり、営業効率も飛躍的に向上します。

⑤ 継続的なトレーニングと育成

強い営業組織は、継続的なトレーニングと体系的な育成を組織文化として根づかせています。営業スキルは一度の研修で完結するものではなく、市場環境や顧客ニーズの変化に応じて常にアップデートが求められるためです。

一過性の教育ではなく、継続的な学びの仕組みこそが、組織の競争力を左右します。

継続的なトレーニングの仕組み化

継続的なトレーニングは、個々のスキル定着と組織全体の営業力強化を同時に実現します。定期的な学びの機会を提供することで、知識やスキルの更新が進み、組織全体のパフォーマンス向上につながります。

主な取り組み例は以下の通りです。

  • 月次スキルアップセミナー:最新の営業手法やツールについての継続的な学習機会を提供
  • ベテラン社員による事例共有:成功パターンやノウハウを可視化し、ナレッジとして蓄積
  • 外部講師による業界動向の学習:市場の変化を迅速に把握し、戦略に反映
  • ロールプレイング研修:実践に近い環境で商談力や対応力を強化

こうしたトレーニングを定期的に実施することで、個々の営業担当者が常に成長し続け、変化に強い組織を構築できます。継続的な学びは、強い営業組織にとって欠かせない基盤です。

体系的な新人教育と次世代リーダー育成

強い営業組織は、属人的な指導に頼らず、再現性のある教育体制を整えています。
また、次世代を担うリーダーを計画的に育成することで、組織の継続的な成長を支えています。

具体的な取り組みは以下の通りです。

  • 標準化された研修プログラム:誰でも同じクオリティで営業活動を学べる仕組みを構築
  • メンター制度の導入:先輩社員が新人を継続的にサポートし、現場での実践力を養成
  • 次世代リーダーの選抜と実践育成:有望な若手社員を重要な商談やプロジェクトに参加させ、マネジメントスキルを磨く
  • キャリアパスの明確化:成長のステップを明示することで、モチベーションと定着率を向上

このような体系的な育成体制により、新人は早期に戦力化し、将来のリーダーも計画的に輩出できます。

AI活用による育成の効率化と高度化

最新の営業組織では、AIを活用したトレーニングが劇的な成果を上げていますなぜなら、AI技術により個々のメンバーに最適化された育成プログラムの提供や、客観的なスキル評価が可能になり、従来の研修では実現できなかった効率性と精度を両立できるためです。

AIを活用した育成の具体例として、以下が挙げられます。

  • AIロールプレイング:ChatGPTなどを活用し、24時間365日いつでも商談練習が可能
  • 音声・会話分析:商談録音をAIが分析し、話し方や論理性、敬語の適切さまで客観的に評価
  • パーソナライズド学習:個人の弱点をAIが特定し、最適な学習コンテンツを推奨

これらのAI活用により、育成の効率が飛躍的に向上し、マネージャーの負担も軽減されます。したがって、AIトレーニングは、これからの強い営業組織に不可欠な要素となるでしょう。

⑥ モチベーションとナレッジ共有の仕組み

強い営業組織には、メンバーのモチベーションを高める仕組みと、ナレッジを組織全体で共有する文化が根付いています。

個々のやる気とチーム全体の知見が連動することで、持続的な成長と安定した成果が実現するためです。属人的なスキルに頼らず、誰もが成果を出せる体制こそ、真に強い営業組織の証です。

 公平で透明性のある評価・報酬制度

メンバーが納得感を持って働ける環境を整えるには、公平で透明な評価制度が不可欠です。努力が正当に認められることで、目標に向かう意欲が自然と高まります。

制度設計のポイントは以下の通りです。

  • 多角的な評価基準:売上だけでなく、顧客満足度、業務改善への貢献、チームワークなど、結果とプロセスの両面を評価
  • 透明性の確保:評価基準や評価理由を明確にし、具体的なフィードバックを実施
  • 多様な報酬形態:給与や賞与に加え、表彰制度やスキルアップの機会など、個々の価値観に応じた報酬設計

こうした仕組みにより、メンバーは自身の成長を実感でき、組織への貢献が評価されているという安心感を得られます。

 ナレッジ共有とベストプラクティスの蓄積

属人的な営業スキルを組織全体の資産へと昇華させるには、知見の共有と蓄積が不可欠です。具体的な施策は以下の通りです。

  • 営業事例共有会:月1回、成功事例や失敗からの学びをチーム内で発表
  • ナレッジベースの構築:イントラや社内ツールにトークスクリプトやFAQなどを集約
  • 営業プレイブックの整備:商談プロセスごとのベストプラクティスをマニュアル化

これにより、経験の浅いメンバーでも先輩の知見を活用し、早期に成果を上げることが可能になります。

挑戦的かつ達成可能な目標設定

目標設定は、モチベーションの源泉であり、組織全体のパフォーマンスに直結します。効果的な目標設定には、以下の要素が求められます。

  • 施策とセットで設定:「前年比10%増」といった数値に対し、達成手段も明確化
  • 個別最適化:経験やスキルに応じて目標水準を調整し、段階的な成長を促す
  • 定期的な進捗確認:週次・月次で進捗を把握し、適宜フォローや修正を行う

これにより、メンバーはポジティブな気持ちで取り組めるようになり、結果的に組織全体の成果が最大化されます。

心理的安全性と業務効率化

メンバーが安心して意見を出し、営業活動に集中できる環境づくりも欠かせません。有効な施策として以下が挙げられます。

  • 心理的安全性の確保:定期的な1on1、匿名フィードバック、上司からの失敗共有など
  • 業務効率化の推進:CRMによる業務自動化、ルーティン作業の標準化により、営業に集中できる時間を創出
  • 現場の声を反映:改善提案を積極的に取り入れ、ボトムアップで組織を進化

このような環境が整えば、メンバーの生産性とモチベーションがともに向上します。心理的安全性と業務効率は、強い営業組織の土台といえるでしょう。

強い営業組織の作り方はこの5ステップで|脱属人化の設計図

強い営業組織は、一朝一夕では作れません。現状分析から戦略設計、人材育成、そして定着までを段階的に進めることが重要です。ここでは、組織を再構築するための5つのステップを解説します。

STEP①:現状の課題を可視化する(組織診断フェーズ)

強い営業組織を作る第一歩は、現状の課題を正確に把握し、可視化することです問題を明確にしなければ、どこから手をつけるべきかわからず、施策が場当たり的になってしまいます。

具体的には、以下の項目を診断します。

  • 営業プロセスの分析:各フェーズでのボトルネックや非効率な箇所を特定
  • スキルのばらつき確認:メンバーごとの強み・弱みを客観的に評価
  • 目標と実績のギャップ:KPIの達成状況から組織の課題を抽出
  • コミュニケーション状況:チーム間の連携や情報共有の実態を調査
  • マネジメント体制の確認:育成やフィードバックの仕組みが機能しているかを検証

これらのデータを集約し、「何が問題で、なぜ成果が出ていないのか」を明確にします。また、現場メンバーへのヒアリングや顧客フィードバックも重要な判断材料です。客観的なデータと現場の声を組み合わせた組織診断が、強い営業組織への第一歩となります。

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STEP②:戦略と目標を再設計する(方向性定義フェーズ)

組織診断で明らかになった課題をもとに、営業戦略と目標を再設計します現状に即した戦略がなければ、いくら施策を打っても組織全体が同じ方向を向けず、成果につながりません。

戦略と目標の再設計では、以下を明確にします。

  • 顧客セグメントの定義:どの市場・顧客層に注力するのかを明確化
  • 提供価値の再定義:自社の強みを活かし、顧客にどんな価値を提供するのか
  • 営業プロセスの標準化:受注までのプロセスを明確にし、再現性を高める
  • KGI・KPIの設定:最終目標(売上・契約件数など)と、それを達成するための中間指標を設定

例えば、「従業員100〜300人規模の製造業に特化し、3ヶ月以内に新規契約30社を獲得する」といった具体的な戦略を策定します。これにより、メンバー全員が同じゴールを共有し、行動指針が明確になります。戦略と目標の再設計は、組織全体の方向性を定める重要なステップです。

STEP③:組織構造とマネジメント体制を整備する(仕組み構築フェーズ)

戦略が定まったら、それを実行できる組織構造とマネジメント体制を整備します。優れた戦略があっても、それを支える仕組みがなければ、現場は動けず、成果も出ません。

具体的には、以下の仕組みを構築します。

  • 適切な人員配置:顧客セグメントや案件の重要度に応じて、最適なメンバーを配置
  • 役割と責任の明確化:誰が何を担当するのかを明示し、業務の重複や漏れを防止
  • 営業プロセスの標準化:営業の型を作り、誰でも一定の成果を出せる体制を構築
  • 進捗管理の仕組み:KPIをリアルタイムで確認できるダッシュボードやミーティング体制を整備
  • マネジメント層の育成:マネージャーがチームを適切に導けるよう、コーチングスキルや評価方法を強化

これらの仕組みにより、戦略が現場で確実に実行され、組織全体が効率的に機能するようになります。組織構造とマネジメント体制の整備は、戦略を実行に移すための土台となるのです。

STEP④:人材育成と行動変容を促す(教育・実践フェーズ)

仕組みだけでは成果は出ません。実行する「人」を育てることで、戦略が現場に根付きます。

効果的な人材育成には、以下の取り組みが必要です。

  • 体系的な研修プログラム:新人からベテランまで、レベルに応じたスキル研修を実施
  • ロールプレイングの徹底:実践的なトレーニングで、学んだ内容を商談で再現できるようにする
  • AI活用トレーニング:AIロールプレイやフィードバック機能を使い、個別最適化された育成を実現
  • ナレッジ共有の促進:成功事例や失敗事例を組織全体で共有し、学びを蓄積
  • 1on1フィードバック:定期的な個別面談で、具体的な改善点を伝え、成長をサポート

これらの教育により、メンバーは新しい営業プロセスや戦略を理解し、実際の行動に落とし込めるようになります。人材育成と行動変容は、組織改革を実効性あるものにする鍵となります。

STEP⑤:定着と継続的な改善を行う(評価・運用フェーズ)

最後のステップは、新しい仕組みを定着させ、継続的に改善するサイクルを回すことです一度の改革で終わらせず、市場環境の変化に応じて進化し続けることが、強い営業組織の条件です。

定着と継続的改善には、以下の取り組みが重要です。

  • 定期的なKPI評価:週次・月次でKPIを確認し、目標と現状のギャップを分析
  • PDCAサイクルの徹底:Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返し、常に最適化
  • 成功事例の横展開:うまくいった施策をチーム全体に共有し、組織全体のレベルを底上げ
  • マネジメント層のフォロー:現場が新しい仕組みを正しく運用できているか、マネージャーが継続的にサポート
  • フィードバック文化の醸成:メンバーが率直に意見を言える環境を維持し、組織全体で改善意識を高める

これらの取り組みにより、一時的な改革ではなく、持続的に成長し続ける組織へと進化します。定着と継続的改善は、強い営業組織を長期的に維持するための最重要ステップです。

ただし、これらのステップを自社だけで実行するのは容易ではありません。そこで、専門家の支援を活用することで、確実かつ短期間で成果を出すことが可能になります。

実際に、CLF PARTNERSの支援を受けた企業では、次のような成果が生まれています。

  • IT業界:営業プロセスの型化により、受注率が20%から30%へ
  • 製造業:営業組織改革により、売上前年比120%を達成し、営業パイプラインの案件数が2倍に増加
  • ヘルスケア業界:提案力強化により、受注率が10%から20%へ

このように、定着と継続的改善は、強い営業組織を長期的に維持するための最重要ステップであり、専門家の伴走支援によってその実現が加速します。

強い営業組織をつくるなら、外部の専門支援も検討しよう

強い営業組織の構築には、戦略設計から人材育成、仕組み化まで多岐にわたる取り組みが必要です。しかし、社内リソースだけでは限界があり、専門的な知見やノウハウが不足しているケースも少なくありません。そこで検討したいのが、外部の専門支援の活用です。

外部の専門家は、累計数百社以上の支援実績から得た成功パターンや失敗事例を持ち、客観的な視点で組織の課題を特定できます。また、最新のAI技術や営業手法を取り入れた実践的なプログラムにより、短期間で成果を出すことが可能です。

CLF PARTNERSでは、累計350社以上、3,000人以上の営業パーソンを支援してきた独自メソッドをもとに、貴社の営業組織を「自走できる強い組織」へと変革します営業戦略の策定から現場支援、マネジメント体制の整備、人材育成まで一貫してサポート。

また営業研修では、50以上の研修メニューから貴社の課題に合わせてカスタマイズし、行動変容を促す徹底した伴走フォローを実施します。

組織全体の営業力を底上げし、属人化を解消したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
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まとめ

強い営業組織とは、「仕組み」「人材」「文化」が一体となって機能し、特定の個人に依存せず、安定して成果を生み出せる構造を持っています。

本記事では、営業組織の基本構造から、よくある課題、強い組織に共通する6つの特徴、そして再構築に向けた5つのステップまでを体系的に解説しました。

重要なのは、場当たり的な対応ではなく、段階を踏んで組織全体を進化させていくことです。

  • 現状課題の可視化
  • 戦略と目標の再設計
  • 組織体制とマネジメントの整備
  • 人材育成と行動変容の促進
  • 定着と継続的な改善

さらに、以下の6つの要素を組織に根づかせることで、持続可能で成果の出る営業組織が実現します。

  • 優秀なマネージャーの育成
  • 明確な目標設定
  • データに基づく意思決定
  • 効果的なコミュニケーション文化
  • 継続的なトレーニング体制
  • モチベーションとナレッジ共有の仕組み

CLF PARTNERSでは、累計350社以上の支援実績をもとに、貴社の営業組織を「自走する強い組織」へと変革します。

営業戦略の策定から現場での実行支援、人材育成までを一貫してサポートし、6カ月以内に具体的な成果にコミットします。

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この記事の監修者

CLF PARTNERS株式会社
代表取締役社長 松下 和誉

大学卒業後、大手総合系コンサルティングファームに入社。最年少で営業マネジャーに就任。中小企業から大手企業まで幅広くコンサルティング業務を実施。また、文部科学省からの依頼を受け、再生機構と共に地方の学校再生業務にも従事。 その後、米Digital Equipment Corporation(現ヒューレットパッカード)の教育部門がスピンアウトした世界9ヵ国展開企業のJAPAN営業部長代行として国内の最高売上に貢献。 現在は関連会社12社の経営参画と支援を中心に、グループの軸となるCLF PARTNERS㈱ではVC出資ベンチャー企業、大企業の新規事業の支援に従事
公式Xアカウント:https://x.com/clf_km


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