営業ノウハウ

営業部長に求められる役割とマネジメントとは?営業マネージャーとの違いを徹底解説

「部下のマネジメントがうまくいかない」
「他部門との連携が思うように進まない」
「経営層からの期待に応えられているか不安」

このような悩みを抱える営業部長は少なくないのではないでしょうか。不確実性が高まる今日のビジネス環境において、単なるプレイングマネージャーとしての役割だけでは、組織の持続的な成長は望めません。

そこで本記事では、営業部長に求められる役割とマネジメントについて、以下のテーマで詳しく解説していきます。

  • 営業部長に期待される3つの本質的な役割と具体的な行動指針
  • 営業マネジャーとの決定的な違いと昇格に必要な5つの重要資質
  • 営業マネジャーから営業部長へのキャリアパス

また、CLF PARTNERS株式会社では、豊富な実績を持つコンサルタントが実践的な営業組織改革支援を提供しております。

  • 「営業組織全体の生産性を向上させたい」
  • 「次世代リーダーの育成を強化したい」
  • 「部門間の連携を円滑にしたい」

このような課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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営業部長の役割とは

営業部長は、企業の営業活動の中核を担い、戦略の策定から実行、組織のマネジメント、社内外の関係構築まで幅広い業務を担当します。各役割について詳しく解説します。

営業戦略の策定と実行

営業部長の最も重要な役割は、実効性の高い営業戦略を策定し、確実に実行することです。市場環境が急速に変化する現代では、データに基づく戦略的アプローチが営業組織の成果を大きく左右します。

具体的には、まず市場動向を分析し、競合状況や顧客ニーズの変化、業界特有の課題を多角的に把握した上で、実現可能な戦略を立案します。次に、戦略を実行フェーズに移し、KPIを設定して成果をモニタリングする流れです。

例えば、「6カ月以内に新規顧客からの受注を30%増加させる」といった具体的な目標を掲げ、月次で進捗を確認しながら適宜軌道修正を行います。

このように、市場分析から戦略立案、実行、モニタリングまでのプロセスを主導することで、組織全体の営業力を向上させることができます。

営業組織のマネジメント

営業部長の重要な役割の一つは、営業組織全体を効果的にマネジメントし、チームの生産性と成果を最大化することです。優れた戦略があっても、実行するチームの能力開発やモチベーション管理、業務環境の整備が不十分では、持続的な成果は期待できません。

そのため、以下の3つの側面からの包括的なマネジメントが求められます。

人材育成とモチベーション管理・メンバー一人ひとりの強みを活かした指導と育成
・明確なKPIの設定と定期的な進捗確認
・公平で納得性の高い評価制度の構築
・キャリアパスの明確化と成長機会の提供
組織設計と風土改革・適材適所の人員配置と権限委譲
・チーム間の連携強化とナレッジ共有
・健全な組織文化の醸成
・新規採用と人材育成の戦略立案
業務環境の整備・業務プロセスの標準化とツール導入による効率化
・メンバーのワークライフバランスへの配慮
・オープンなコミュニケーション環境の構築
・生産性を高める職場づくり

このように、組織のマネジメントは個々のメンバーの育成だけでなく、組織全体の仕組みや文化づくりまでを包含する、戦略実現の重要な基盤となります。

対外的な業務

営業部長には、部門を超えた連携の要として、対外的な業務を効果的にマネジメントする役割が求められます。営業活動の成果を最大化するには、社内の各部門との緊密な協力体制を築き、経営層と戦略的な合意を形成するとともに、重要顧客との良好な関係を維持することが不可欠です。

具体的には、以下の対外的な業務を担います。

  • 経営層への戦略提案と予算交渉
  • マーケティング部門との施策連携
  • 製品開発部門への顧客ニーズのフィードバック
  • カスタマーサクセス部門との顧客情報共有

このように、営業部長は組織内外をつなぐ重要なハブとして機能し、ビジネスの持続的な成長を支える役割を果たします。

営業部長はプレイヤーとの兼任が多い?

現代の営業部長の特徴的な役割の一つに、マネジャーとプレイヤーを兼務する「プレイングマネージャー」としての働き方があります。

産業能率大学総合研究所の調査によると、96%の部長職がプレイヤー業務も担っており、その比率は全業務の約40%にのぼります。これは、組織のスリム化や業務の複雑化により、マネジメント専任が難しくなっている現状を示しているといえるでしょう。

具体的には、以下のような業務を同時にこなしています。

  • 重要顧客との商談対応
  • 新規市場開拓における陣頭指揮
  • 部下の案件支援や同行営業
  • マネジメント業務(戦略立案、組織管理など)

このように、営業部長にはプレイヤーとしての実践力と、マネジャーとしてのマネジメント力の両方が求められています。

営業部長と営業マネジャーとの違い

営業組織の中核を担う「営業部長」と「営業マネジャー」。一見似た役職に思えますが、求められる視点やスキル、役割には明確な違いがあります。

営業マネジャーはチームの成果を最大化する役割を担い、営業部長は部門全体の戦略や経営に関わる重要なポジションです。ここでは、それぞれの違いを視点・スキル・年収の観点から詳しく解説します。

視点と役割の違い

営業部長と営業マネージャーは、同じ管理職でありながら、求められる視点と役割に明確な違いがあります。これは、組織における位置づけと責任範囲が異なるためです。

営業部長は部門全体の成果に責任を持つ立場である一方、営業マネージャーは特定のチームの目標達成を担う役割を担います。以下が主な違いです。

項目営業部長営業マネージャー
視野の範囲全社的・長期的チーム単位・中期的
戦略策定部門戦略の立案チーム戦略の具体化
人材育成マネージャーの育成メンバーの育成
対外関係他部門との連携・調整現場レベルの連携

このように、両者には明確な役割の違いがあり、それぞれの立場に応じた適切なマネジメントが求められます。

必要とされるスキルセットの違い

営業部長と営業マネージャーは、それぞれの立場に応じて求められるスキルセットが大きく異なります。営業部長は部門全体の経営責任を担い、戦略的な意思決定を求められる役職です。一方、営業マネージャーは現場の最前線でチームを指導し、実践的な営業力の強化に貢献します。

以下に、それぞれの主なスキルセットの違いを示します。

スキル領域営業部長営業マネージャー
判断力経営的判断力・リスク管理能力現場レベルの意思決定力
リーダーシップビジョン構築力・変革推進力チーム統率力・動機付け力
指導力マネージャーの育成・指導力メンバーへの実践的指導力
分析力市場分析・経営数値分析力案件分析・営業プロセス分析力

このように、両者には必要とされるスキルセットに明確な違いがあり、それぞれの役割に応じた能力開発が求められます。

年収の違い

営業部長と営業マネジャーの間には、年収に明確な差があります。令和4年賃金構造基本統計調査によると、部長級の月額平均給与は586,200円、課長級(営業マネジャー)は486,900円と報告されています。

これは、役職ごとの責任範囲や求められる能力の違いが報酬に反映されているためです。具体的な年収差は以下の通りです。

  • 部長級:基本給年収約703万円(月給586,200円×12カ月)+賞与・手当
  • 課長級:基本給年収約584万円(月給486,900円×12カ月)+賞与・手当

さらに、業界によっても大きな差があり、金融業・保険業では以下のような水準となっています。

  • 部長級:月給796,700円(基本給年収約956万円)
  • 課長級:月給621,500円(基本給年収約746万円)

このように、年収の違いは組織における役割と責任の重要性を反映しています。

営業マネジャーから営業部長への昇格条件:5つの重要資質

営業マネジャーとして実績を積んだ後、次のキャリアステップとして営業部長を目指すには、より広い視点と高度なスキルが求められます。

単なるチーム管理を超え、組織全体の成果を最大化するための役割が重要です。ここでは、営業部長に昇格するために欠かせない5つの重要な資質について詳しく解説します。

ビジョン伝達力

営業部長への昇格において最も重要な資質の一つは、経営ビジョンを現場に効果的に伝達する力です。営業部長は、経営層が掲げる長期戦略を理解し、それを現場で実践できる具体的な形に落とし込む役割を担います。

これは、マネジャー時代の短期目標管理や日常業務の遂行とは本質的に異なるスキルです。例えば、「3年後に市場シェア30%を達成する」という経営目標がある場合、以下のような取り組みが求められます。

  • 各チームの特性に応じた段階的な目標設定
  • 具体的なアクションプランへの落とし込み
  • メンバーが理解しやすい表現での説明
  • 目標達成に向けたモチベーション維持の施策

このように、ビジョンを「現場の言葉」に翻訳し、チーム全体が一丸となって進める環境を整えることが、部長レベルのリーダーシップとして不可欠です。

クロスファンクショナルな調整能力

営業部長には、組織全体を見据えた部門横断的な調整能力が不可欠です。営業の成果を最大化するには、マーケティング、製品開発、カスタマーサクセスなど、他部門と緊密に連携する必要があります。

これは、チーム内の管理に重点を置くマネジャーレベルとは異なる役割です。具体的には、以下のような場面で調整力が求められます。

  • 新商品ローンチに向けた開発部門との連携
  • マーケティング施策と営業活動の整合性確保
  • 予算や人員配置に関する経営層との交渉
  • 部門間の利害対立に対する解決策の提示

このように、営業部長には「チーム」の枠を超え、全社的な視点で部門間の協力関係を築き、組織全体の成果を最大化する役割が求められます。

経営的判断力

営業部長には、経営視点での数値分析と戦略的な意思決定力が求められます。営業部長の役割は、単に売上目標を達成することではなく、収益性やROIを考慮した判断を下し、部門の持続的な成長を実現することです。

これは、チームKPIの達成管理を主とするマネジャーレベルとは異なる視点が求められます。具体的には、以下のような判断が必要になります。

  • 投資対効果を踏まえた人員配置の決定
  • 新規事業領域への参入判断
  • リソース配分の最適化
  • 中長期的な収益構造の分析

また、現場で得られた課題や機会を、経営層にわかりやすく提言する役割も担います。売上・利益・生産性などの指標を用いた説得力のある提案を行い、必要なリソースの確保や新施策の導入を実現するのです。

次世代リーダー育成力

営業部長の重要な役割の一つは、次世代のリーダーを育成し、組織全体の底上げを図ることです。そのためには、直接的なチーム管理から一歩引き、マネジャー層の成長を支援する視点への転換が必要となります。

営業部長は、部下を直接指導するのではなく、「リーダーを育てるリーダー」としての役割を果たさなければなりません。具体的には、以下のような育成アプローチが求められます。

  • マネジャーの自主的な判断を促す質問型の指導
  • 困難な局面での適切なアドバイスと支援
  • リーダーシップスキル向上のためのフィードバック
  • 経営的視点を養うための助言や機会提供

このように、営業部長には、短期的な成果の追求だけでなく、次世代リーダーの育成を通じて組織の持続的な成長を支える役割が求められます。

組織の架け橋としての役割

営業部長には、現場と経営層をつなぐ「架け橋」としての役割が求められます。現場の努力や成果を経営層に適切に伝え、経営方針を現場に浸透させることで、組織全体の方向性を一致させる必要があるためです。

これは、チーム内での成果報告に留まるマネジャーレベルとは異なる責務です。具体的には、以下のような活動が重要になります。

  • 数値とストーリーを組み合わせた説得力のある実績報告
  • 現場の課題や改善提案の経営層への効果的な伝達
  • 経営戦略の背景や意図を含めた現場への展開
  • 組織全体の価値創出プロセスの可視化

このように、営業部長は組織の上下をつなぐコミュニケーションハブとして機能し、現場の努力と経営の意図を効果的に結びつけることで、組織全体の成長を促進する役割を果たします。

営業マネジャーから営業部長へのキャリアパス

営業マネジャーが営業部長へキャリアアップするには、戦略的かつ計画的なスキル開発が不可欠です。

部長職には、経営視点での判断力、部門を超えた調整力、次世代リーダーの育成力など、マネジャー時代とは異なるスキルが求められます。そのため、以下のような準備が効果的です。

  • MBAや経営管理の資格取得による経営知識の習得
  • 他部門との連携プロジェクトへの積極的な参画
  • 財務やマーケティングの専門研修の受講
  • リーダーシップ開発プログラムへの参加

スキル開発をスムーズに進めるには、CLF PARTNERS株式会社のような実績豊富な営業コンサルティング会社のサポートを活用するのも有効です。現役営業部長の実践的なアドバイスを受けることで、より確実なキャリアアップを実現できます。

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まとめ|実践的な役割理解と体系的なスキル開発で営業部長としての成長を実現

営業部長という役職は、デジタル化や市場変化が加速する現代のビジネス環境において、組織の持続的な成長と営業力強化を実現するための重要なポジションです。

実践においては、戦略策定から組織マネジメント、対外的な調整まで3つの本質的な役割を理解し、5つの重要資質を段階的に習得することが求められます。また、プレイングマネージャーとしての実務対応力も欠かせません。

しかしながら、営業マネジャーから営業部長へのキャリアアップを実現し、継続的な成果を創出するためには、専門的な知見とサポートが不可欠です。

CLF PARTNERS株式会社では、豊富な実績を持つ営業部長経験者が、キャリア開発における戦略立案から実践的なスキル習得まで、包括的なサポートを提供しております。

  • 「経営視点での判断力を強化したい」
  • 「部門を超えた調整能力を高めたい」
  • 「次世代リーダーの育成力を磨きたい」

このような課題をお持ちの方は、ぜひCLF PARTNERS株式会社にご相談ください。
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この記事の監修者

CLF PARTNERS株式会社
代表取締役社長 松下 和誉

大学卒業後、大手総合系コンサルティングファームに入社。最年少で営業マネジャーに就任。中小企業から大手企業まで幅広くコンサルティング業務を実施。また、文部科学省からの依頼を受け、再生機構と共に地方の学校再生業務にも従事。 その後、米Digital Equipment Corporation(現ヒューレットパッカード)の教育部門がスピンアウトした世界9ヵ国展開企業のJAPAN営業部長代行として国内の最高売上に貢献。 現在は関連会社12社の経営参画と支援を中心に、グループの軸となるCLF PARTNERS㈱ではVC出資ベンチャー企業、大企業の新規事業の支援に従事
公式Xアカウント:https://x.com/clf_km


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