企業の成長において、営業組織の改革は避けて通れない重要な課題です。
しかし、多くの企業では人材育成が追いついていない、効果的なプロセスが確立されていない、組織文化が硬直化しているなど、様々な問題に直面しています。
本記事では、強い営業組織への改革を実現するための6つの重要ポイントを詳しく解説します。これらを押さえることで、競争力のある営業組織への変革の道筋が見えてくるでしょう。
またCLF PARTNERSでは戦略立案から実行まで一貫した営業支援を行っております。「営業組織を変えたい」「商談化率や受注率が上がらない」という課題をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。
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目次
強い営業組織とは
強い営業組織とは、単なる営業担当者の集合体ではなく、顧客との関係構築から契約締結、そしてアフターフォローまでの全プロセスを効果的に運営する戦略的な組織のことです。
強い営業組織には、以下のような特徴があります。
- 個々のメンバーの能力を最大限に引き出し、チームとしての相乗効果を生み出せる
- 顧客の声を的確に捉え、社内にフィードバックし、商品やサービスの改善につなげられる
特に、SaaSビジネスで上場を目指すスタートアップ企業にとっては、営業組織の役割は極めて重要と言えるでしょう。プロダクト開発が追いついていない状況でも、商品・サービスの魅力を顧客の課題に結びつけて営業することが売上確保につながり、企業の生き残りと成長に直結するからです。強い営業組織は、現在置かれている状況に柔軟に対応しながら、安定した収益を生み出す企業の成長エンジンとして機能するのです。
強い営業組織の重要性
強い営業組織の重要性は、現代のビジネス環境において日々高まっています。市場環境が目まぐるしく変化する中、商品力だけで勝ち続けることは困難になっているからです。
特に、SaaSビジネスを展開するスタートアップ企業にとって、強い営業組織は生命線と言えるでしょう。資金が尽きてしまわないように、商品・サービスを売って稼いで来なければならないからです。強い営業組織のおかげで、資金切れに陥ることなく、真に顧客に価値を提供できる製品が完成するまでの期間を乗り越えられます。
大企業も同様です。資本力のある外資系企業などが自社の業界に参入してきた際、対抗するためには現場で顧客との深い信頼関係を築いている営業力が不可欠だからです。
強い営業組織を構築するためには、営業プロセスの型化や人材育成などのセールスイネーブルメントを通じて、組織を継続的に強化していく必要があります。
セールスイネーブルメントとは、営業組織を強化するための取り組みのことです。
組織全体の能力を高めることで、変化に強い収益基盤を構築し、企業の長期的な成功を支える強固な営業力を養成できます。
組織営業については解説しているこちらの記事もぜひ参考にしてください。
関連記事:組織営業とは?目的や仕組み作りのポイント、様々な企業の成功事例を解説
営業組織のあるべき姿
全メンバーが組織の共通目標を明確に認識し、達成に向けて一丸となって取り組んでいるのが営業組織のあるべき姿です。単に売上目標を達成するだけでなく、会社の未来像や顧客への価値提供について、全員が深く理解し共感している状態でなけれななりません。
強い営業組織では、メンバー間のコミュニケーションが活発です。役職や部署の壁を越えて、誰もが自由に意見を言い合える雰囲気があります。また、チームメンバーそれぞれの得意分野を活かしながら、お互いの苦手な部分をサポートし合う文化も根付いています。このような協力的な環境こそが、強い営業組織を作り上げる基盤となるのです。
営業組織における共通の課題
多くの営業組織が直面する共通の課題には、以下のようなものがあります。
- 人材を育成できていない:体系的な研修や実践的なOJTの不足により、新人や中堅社員の成長が滞りがち
- モチベーション管理ができていない:個々の営業担当者のやる気を高く保ち、チーム全体の士気を維持できていない
- 営業スキルにばらつきがある:トップ営業と平均的な営業員の間に大きな差があり、組織として安定した成果を出せていない
- 提案力が向上しない:顧客ニーズを深く理解し、適切な解決策を提案する能力が十分に育っていない
上記の問題は相互に影響を及ぼし合っているケースがあるので、ピンポイントで解決を図るのではなく、営業組織全体の改革が必要です。
営業組織のよくある課題についてはこちらより詳しく解説しております。
関連記事:営業組織であるあるの課題8選とは?実践で使える解決策も紹介
強い営業組織の特徴
強い営業組織に当てはまる特徴は以下の通りです。
- 優秀な営業マネージャーの存在
- 明確な目標設定と戦略立案
- 効果的なコミュニケーション
- データに基づく意思決定
- 継続的なトレーニングと教育
- 高いモチベーションと士気
上記の要素が組み合わさることで、組織全体の営業力が向上します。
優秀なマネージャーのもと、明確な目標と戦略が立てられ、それがチーム内で共有されます。データを活用した的確な判断と、継続的な学習機会の確保が、個々の営業担当者のスキルアップを促進。そして、高いモチベーションと士気が、チーム全体の成果を最大化させるのです。
強い営業組織のポイント1:優秀な営業マネージャー

営業マネージャーの役割
強い営業組織には、必ず優秀な営業マネージャーの存在があります。優れたマネージャーの存在が組織の強さを決定づけると言っても過言ではありません。
営業マネージャーには大きく分けて二つの重要な役割があります。一つは業績目標の達成、もう一つは人材育成です。マネジメント能力に長け、部下の能力を最大限に引き出せる人や、自ら率先して行動し模範を示せる人など、タイプは様々です。優秀な営業マネージャーは、これらの役割をバランスよく遂行し、組織全体の成果を最大化します。
マネジメントの役割やコツはこちらの記事も参考にしてください。
関連記事:営業組織マネジメントの7つの役割とは?トップ営業の思考法を解説
営業マネージャーに求められるスキル
優秀な営業マネージャーには、以下のスキルが求められます。
- チーム全体を俯瞰的に見る力:個々のメンバーの状況やチーム全体の動きを的確に把握する能力
- 高いコミュニケーション能力(特にコーチング力):メンバーの強みを引き出し、弱みを改善するための適切な指導やアドバイス能力
- リーダーシップと行動力:チームを正しい方向に導き、自ら率先して行動し、メンバーの模範となる能力
- 決断力・判断力:様々な状況下で迅速かつ適切な判断を下し、チームを導く能力
- 問題解決力:日々発生する様々な課題に対して、効果的な解決策を見出し、実行に移す能力
これらのスキルを総合的に備えた営業マネージャーが、強い営業組織の要です。
強い営業組織のポイント2:目標設定と戦略立案
SMARTな目標
SMARTな目標とは、以下5つの要素を満たす目標設定の方法です。
Specific:具体的
Measurable:測定可能
Achievable:達成可能
Relevant:関連性がある
Time-bound:期限がある
例えば、「来月の新規顧客獲得数を20%増やす」という漠然とした目標ではなく、「3ヶ月以内に、既存顧客からの紹介を活用して、IT業界の中小企業30社と新規契約を締結する」と設定するなどが例です。SMARTな目標を立てることにより、チームメンバー全員が明確な方向性を持ち、進捗を容易に確認できるようになります。
目標達成に向けた具体的な行動計画も立てやすくなり、組織全体の効率が向上するのもメリットです。
短期・中期・長期の目標
営業組織には、短期・中期・長期それぞれの目標設定が重要です。
短期目標(1〜3ヶ月):「今月中に50件の新規アポイントを獲得する」
中期目標(半年〜1年):「今年度末までに、新規顧客からの売上を20%増加させる」
長期目標(2〜5年):「3年以内に、市場シェアを現在の15%から25%に拡大する」
これらの目標を組み合わせることで、日々の活動に明確な方向性を与えつつ、組織の持続的な成長を見据えた行動が可能になります。短期目標は日々のモチベーションにつながり、中長期目標は戦略的な思考と行動を促すでしょう。
戦略的計画の立案
戦略的計画の立案は、目標達成のための具体的な道筋を示すものです。主要な要素として、ターゲット市場の選定、営業チャネルの選択、マーケティング戦略との連携の3つがあります。
例えば、ターゲット市場を「従業員100〜300人規模の製造業」と絞り込むことで、その市場に特化したアプローチが可能になります。営業チャネルでは、「オンラインセミナーと対面訪問のハイブリッド方式を採用し、効率的な顧客接点を作る」なども良いでしょう。
マーケティング戦略との連携では、「ウェビナーを通じたリード獲得」など、営業部門とマーケティング部門が協力して成果を出す仕組みを構築します。
これらの要素を組み合わせた戦略的計画により、組織全体が一貫した方向性を持って活動することが可能です。
強い営業組織のポイント3:効果的なコミュニケーション
オープンで透明なコミュニケーションの重要性
営業組織を強化するためには、オープンなコミュニケーション環境が不可欠です。日々の営業活動では様々な課題が発生するため、チーム全体で情報や問題を共有し、自由に議論できる場が必要だからです。
例えば、週1回の全体ミーティングを設定し、各メンバーが自由に課題や成功事例を共有する機会を設けるのも良いでしょう。ミーティングでは、失敗を非難せず、新しいアイデアを歓迎する雰囲気づくりが重要です。
このような取り組みにより、チーム内の信頼関係が強化され、問題の早期発見・解決、ベストプラクティスの共有などが促進されるでしょう。
フィードバック文化の醸成
定期的なフィードバックは、メンバーの成長と組織の改善に不可欠です。例えば、月に一度の「1on1ミーティング」を設定し、上司と部下が率直に話し合う機会を作ります。
ミーティングでは、「先日の商談では、プレゼンテーションは型通りできていた。次は、もう少し顧客の反応を見ながら話すと良くなると思う」といったように、具体的なフィードバックを行います。今後のキャリアプランについて話す時間を設けるのも良いでしょう。
このような機会を通じて、営業担当者は自身の強みや改善点を把握でき、成長につなげられます。同時に、上司も部下の考えや悩みを深く理解し、適切なサポートを提供できるようになります。
コミュニケーションツールの活用
現代の営業組織では、SlackやMicrosoft Teams、Zoomなどのコミュニケーションツールが欠かせません。例えば、Slackでチャンネルを作成し、「#営業_日報」「#競合_情報」などのトピックごとに情報を共有する仕組みを作るのも良いでしょう。
商談後すぐに「#営業_日報」で「A社との商談成立!キーポイントは〇〇でした」とシェアすることで、他のメンバーもリアルタイムで情報を得られます。また、Zoomを活用した「オンラインミーティング」では、全国各地の営業メンバーが一堂に会し、その日の目標や前日の成果を共有することで、チーム全体の一体感を醸成できるでしょう。
これらのツールにより、場所や時間の制約を超えた柔軟なコミュニケーションが可能となり、組織全体の情報共有が活性化されます。
強い営業組織のポイント4:データに基づく意思決定

KPI管理
KPI(重要業績評価指標)を設定し、営業活動のプロセスや成果を可視化することで、現状を客観的に把握することが可能です。
例えば、「新規顧客獲得数」「商談成約率」「顧客満足度」などの指標を定期的に追跡します。週次や月次のミーティングでこれらのKPIを確認し、「なぜ今月は新規顧客獲得数が減少したのか」「どうすれば商談成約率を向上できるか」といった議論を行うのです。
この過程で、課題の特定や改善策の立案が可能となり、組織全体のパフォーマンス向上につなげられます。
SFAやCRMツールの活用
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)などのツールは、データに基づく営業活動の強力な味方です。
例えば、Salesforceを活用することで、リアルタイムの進捗管理や、顧客情報の一元管理、分析レポートの自動生成が可能になります。AI機能による商談成約確率の予測や次のアクション提案も活用できます。
これらのツールにより、営業活動の「見える化」が進み、戦略的な意思決定を行えるようになるでしょう。
強い営業組織のポイント5:継続的なトレーニングと教育
継続的なトレーニングの重要性
トレーニングを一度きりのイベントとして扱うのではなく、継続的に実施することが極めて重要です。営業スキルは一朝一夕では向上せず、市場環境や顧客ニーズの変化に常に対応する必要があるからです。
継続的なトレーニングとして、月に一度の「スキルアップセミナー」を実施するのも良いでしょう。最新の営業手法やツールについて学ぶのもおすすめです。ベテラン社員による成功事例の共有や、外部講師を招いての業界動向学習なども効果的でしょう。
継続的なトレーニングにより、個々の営業担当者の成長と組織全体の営業力が向上します。結果として、市場の変化に柔軟に対応できる強靭な営業組織が構築されます。
外部を活用した営業トレーニングについてはこちらで詳しく解説しております。
関連記事:営業研修におすすめの会社11選!失敗しない選び方も解説
新人教育や後進の育成
強い営業組織に改革するためには、体系的な人材育成が不可欠です。新人育成では、誰でも同じクオリティで営業活動ができるよう、再現性の高いマニュアルと研修プログラムが必要です。
組織の将来を見据え、次世代のリーダーを育てることも重要です。例えば、有望な若手を選抜し、重要な商談に同行させることで実践的な営業スキルを学ばせるのもよいでしょう。若手社員は将来の管理職としての素養を磨けます。
強い営業組織のポイント6:営業ノウハウやナレッジの共有
高いモチベーションと士気
営業組織を強化するためには、メンバーの高いモチベーションと士気が欠かせません。これらを保つには、チーム全体の雰囲気づくりと個人の成長支援が重要です。
例えば、チーム内で健全に競い合わせつつ、助け合える環境を作ります。また、個人の成長に合わせた段階的な目標設定を行い、達成感を味わえるようにします。社内外の研修機会を提供したり、メンター制度を導入したりして、個々のスキルアップを支援するのも良いでしょう。
これらの取り組みにより、一人ひとりが自分の成長を実感しながら、組織全体の目標に向かって意欲的に取り組める環境が整います。
挑戦的かつ実現可能なレベルの目標を設定
目標設定は、営業組織のパフォーマンスとメンバーのモチベーションに大きく影響します。理想的な目標は、挑戦的でありながらも達成可能なレベルに設定することです。
例えば、前年比10%増の売上目標を掲げる際、それを達成するための具体的な施策(新規顧客開拓数、既存顧客のアップセル率など)も併せて提示します。また、個人の能力や経験に応じて目標を調整し、段階的に高めていくアプローチも効果的です。
定期的な進捗確認と、必要に応じた目標の微調整を行うことで、メンバーの成長と組織の成果を最大化できます。
業務効率化の可能性を探る
営業活動に直結しないタスクの見直しや効率化が必要です。営業担当者がコア業務である営業活動に集中できる環境を作らなければならないからです。
例えば、CRMツールの導入で顧客情報管理や報告書作成を自動化するのも良いでしょう。ルーティン業務のマニュアル化も必須と言えます。
これらの取り組みにより、営業担当者は顧客との対話や提案活動に、より多くの時間を割くことができ、結果として生産性とモチベーションの向上につなげられます。
意見を吸い上げやすい仕組み・雰囲気を作る
心理的安全性を担保し、メンバーが自由に意見を述べられる環境を作ることが重要です。組織の改革には、現場の声を活かすことが不可欠だからです。
心理的安全性とは、意見や質問をしても否定されたり恥をかかされたりしない状態を指します。例えば、定期的な1on1ミーティングの実施や、匿名でのフィードバックシステムの導入が効果的です。また、上司が自身の失敗談を共有したりすれば、部下も安心して意見を述べやすくなります。
メンバーが納得のいく評価・報酬を与える
評価の基準を明確にし、定期的にフィードバックを行うことが大切です。公平で納得感のある評価・報酬制度は、メンバーのやる気を保つのに欠かせないからです。
例えば、数字の目標だけでなく、仕事の進め方や行動の指標も評価に含めると、より公平に評価できます。また、報酬は給与やボーナスだけでなく、昇進の機会や希望する特別研修への参加など、個々の希望に合わせた様々な形を用意するのも効果的です。
評価の過程を透明にし、成果にふさわしい報酬を与えることで、営業担当者のモチベーションを高められます。
強い営業組織に改革するために

まずは現状の課題を把握する
強い営業組織に改革するためには、まず自社の課題を正確に把握することが大切です。チーム全体で話し合いの場を設け、目標達成の障害や顧客の声について議論しましょう。数字だけでなく、メンバーの日々の困りごとにも耳を傾けます。顧客のアンケートや競合他社との比較分析も効果的です。
これらの情報を総合的に分析することで、自社の強みや弱み、改善すべきポイントが明確になります。課題を正確に把握できれば、次の一手も見えてくるはずです。
外部からの支援も検討する
営業組織の改革は内部だけでは難しいことがあります。そんなとき、プロの営業コンサルタント会社の力を借りるのも一案です。
外部の専門家は客観的な視点で課題を見抜き、効果的な解決策を提案してくれます。営業プロセスの見直し、CRMツールの導入支援、研修プログラムの設計など、幅広いサポートが期待できます。他社の成功事例や最新トレンドなど、社内だけでは得られない情報も得られるでしょう。
費用はかかりますが、長期的には組織の生産性向上につながる可能性があるので、自社の状況と予算を考慮し、積極的に検討すると良いでしょう。
まとめ
強い営業組織に改革するためには、以下のポイントが重要です。
- 優秀な営業マネージャー
- 目標設定と戦略立案
- 効果的なコミュニケーション
- データに基づく意思決定
- 継続的なトレーニングと教育
- 営業ノウハウやナレッジの共有
これらのポイントを押さえることで、競争力のある営業組織を作れます。しかし、内部だけで改革を進めるのは困難な場合も。そんなときは、外部の支援を活用するのも手です。
CLF PARTNERSは営業組織に入り込み、組織風土の改善、再現性の高いナレッジの共有、営業プロセスの仕組み化を実現します。営業組織を改革したいとお考えの方はぜひCLF PARTNERSにご相談ください。
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営業組織を変えたい、商談化率や成約率を向上したいという方はお気軽にCLF PARTNERSへご相談ください。
この記事の監修者

CLF PARTNERS株式会社
代表取締役社長 松下 和誉
大学卒業後、大手総合系コンサルティングファームに入社。最年少で営業マネジャーに就任。中小企業から大手企業まで幅広くコンサルティング業務を実施。また、文部科学省からの依頼を受け、再生機構と共に地方の学校再生業務にも従事。 その後、米Digital Equipment Corporation(現ヒューレットパッカード)の教育部門がスピンアウトした世界9ヵ国展開企業のJAPAN営業部長代行として国内の最高売上に貢献。 現在は関連会社12社の経営参画と支援を中心に、グループの軸となるCLF PARTNERS㈱ではVC出資ベンチャー企業、大企業の新規事業の支援に従事
公式Xアカウント:https://x.com/clf_km