テレアポ営業は、新規顧客獲得の重要な手段ですが、多くの営業担当者が苦手意識を持っています。しかし、適切な準備と戦略、そして効果的なコミュニケーション技術を身につけることで、テレアポの成功率を大幅に向上させることができます。
本記事では、テレアポ営業の目的から具体的なコツまで、19のポイントを詳しく解説します。テレアポで成果を出したいと考えている方はぜひ参考にしてください。
またCLF PARTNERSでは戦略立案から実行まで一貫した営業支援を行っております。「営業組織を変えたい」「商談化率や受注率が上がらない」という課題をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。
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テレアポの目的と重要性
テレアポの目的は、潜在顧客との接点を作り、自社商材への興味・関心を喚起することですが、それだけにとどまりません。テレアポを重ねることで、担当者は営業先の業界や顧客ニーズに関する仮説を立て、検証する機会を得られます。この過程で、市場理解が深まり、提案力も磨かれていきます。
例えば、多くの企業が人材不足に悩んでいることを把握したり、デジタル化への移行が共通の課題だと気づいたりできるかもしれません。テレアポは単なるアポイント獲得の手段ではなく、営業スキル全体を向上させる上でも欠かせない手法なのです。
テレアポの基本的な流れ
明るく挨拶する
テレアポで成果を出せるかどうかは、最初の挨拶で決まると言っても過言ではありません。明るく爽やかな挨拶を行い、相手の警戒心を和らげ、話を聞いてもらう土台を築きましょう。
挨拶する際は、「おはようございます」や「こんにちは」など、時間帯に応じた挨拶を、元気よく、しかし押し付けがましくならない程度の明るさで行います。声のトーンや話すスピードにも注意を払い、相手に好印象を与えるよう心がけましょう。堅苦しすぎず、かといって馴れ馴れしすぎない、適度な親しみやすさが重要です。
手短に自己紹介する
会社名と自分の名前を伝えるのはもちろんですが、それだけでは相手の興味を引くには不十分です。自社の事業内容や提供しているサービスの概要を、わかりやすい言葉で簡潔に説明しましょう。
例えば、「企業の生産性向上をサポートする〇〇株式会社の〇〇です」というように、相手にとってのメリットを含めた自己紹介が効果的です。専門用語や業界用語は避け、わかりやすい表現を使うのがポイントです。
相手のメリットを伝える
短い時間の中で相手の興味を引くには、自社の商材が相手にもたらすメリットを明確に伝えなければなりません。ここでのポイントは、自社の特徴ではなく、相手企業にとっての具体的なメリットに焦点を当てることです。
例えば、「弊社のサービスを導入することで、業務効率が平均30%向上し、コストを年間〇〇万円削減できた実績があります」といった具体的な数字を交えた説明が効果的です。さらに、「最近、多くの企業が人材不足に悩んでいますが、我々のソリューションはこの課題解決に役立ちます」のように、業界の現状や共通の問題に言及することで、相手の注目を集めやすくなります。
ヒアリングする
相手の潜在的なニーズや課題を引き出すために、ヒアリングを行います。ここでのポイントは、オープンクエスチョン(はい・いいえでは答えられない質問)を活用することです。
例えば、「現在の業務で最も課題と感じていることは何ですか?」「〇〇の分野で、どのような改善を望んでいますか?」といった質問を通じて、相手に自由に話してもらいましょう。
また、相手の発言をよく聞き、適切なフォローアップ質問をすることで、さらに詳細な情報を得られます。「最近、顧客データの管理に苦労しています」とヒアリングした場合、「具体的にどのような点で苦労されていますか?」と掘り下げるのです。ヒアリングで得た情報は、後の提案や商談でも役立つので、できるだけ多くの情報を聞き出すようにしましょう。
アポイント日時を決める
スムーズに話を進められたら、最後はアポイント日時を決めます。ポイントは、こちらから選択肢を提示することです。例えば、「来週の火曜日の午前10時か、木曜日の午後3時はいかがでしょうか?」といった具体的な選択肢を示すことで、相手が一からスケジュールを考えるような負担を減らし、スムーズに日程を調整できます。
決定した日時は必ず復唱し、確認します。最後に、ミーティングの目的や準備すべきことがあれば簡潔に伝えておきましょう。
テレアポのコツ-準備編-
精度の高い営業リストを作成する
テレアポ営業を実施する上で欠かせないのが、精度の高い営業リストです。自社の商材に最適な業種、企業規模、地域などで営業先を分類し、ターゲットを絞り込みます。次に、各企業の基本情報に加えて、過去の接触履歴や次に取るべきアクションも記録しておきましょう。各企業の状況に応じた効果的なアプローチを実施できます。
情報は鮮度が大事なので、リストは定期的に更新して質を担保しましょう。精度の高いリストを活用することで、限られた時間内でより効率的にアポイントを獲得し、最終的に成約率の向上につなげられます。
トークスクリプトを作成する
テレアポで成果を出すためには、トークスクリプトが不可欠です。スクリプトは、以下の項目を含めて作成しましょう。
- 挨拶
- 自己紹介
- 商品説明(相手のメリット)
- ニーズや課題のヒアリング
- アポイント設定
- 質問への回答
- 断られた際の切り返し
特に重要なのは、断られた際の切り返しです。例えば「今は忙しい」と言われたら、「では、いつ頃がお時間いただけそうでしょうか?」と返します。また、「興味がない」と言われた場合は、「どのような点が合わないとお考えでしょうか?」と質問し、理由を探ります。
スクリプトは実際の会話からのフィードバックを基に常に改善していきましょう。
架電先の情報を収集する
テレアポを成功させるには、架電先の徹底的な情報収集が不可欠です。企業の基本情報だけでなく、業界動向や競合他社の状況まで事前に把握しておきます。注目しておくべきポイントは、企業の最近のニュース(プレスリリースや決算情報など)です。
例えば、業界の最新トレンドや競合他社の動きを押さえておき、会話の中で適切なタイミングで言及することで、相手に「この担当者わかってるな」と思ってもらえます。これらの情報をもとに、自社の商材が相手の課題解決にどう貢献できるかを具体的に提案することで、単なる営業電話ではなく、相手にとっても、価値ある情報交換の場を作り出せます。
顧客の課題について仮説を立てる
顧客の潜在的な課題に関する仮説を立てることが重要です。業界動向や企業規模、最近のニュースから、企業が直面している可能性のある問題を推測します。まず業界共通の課題を把握し、次に企業規模別の課題を想定します。デジタル化やサステナビリティなどの最新トレンドから生じる課題も考慮した方がよいでしょう。
これらの仮説をもとに、自社の商材がどう課題を解決できるかを具体的に考えておきます。実際の会話でこの仮説を検証し、的確な提案を行うことで、相手の関心を引き、アポ率を高められます。ただし、仮説に固執せず、相手の反応に柔軟に対応することも大切です。
自社商材を理解する
テレアポで成果を出すためには、自社商材への深い理解は欠かせません。特に押さえるべきポイントは以下の通りです。
- 機能
- 特徴
- 価格体系
- 導入プロセス
- 顧客メリット(具体的な数値データ)
- 競合他社との差別化ポイント
商材の機能や特徴だけでなく、それが顧客の課題をどう解決し、価値を提供できるかを具体的に説明できなければなりません。自社商材を深く理解していれば、顧客からの予期せぬ質問にも柔軟に対応でき、信頼感を得られます。結果として、より説得力のあるセールストークが可能になり、アポ率を高められるのです。
テレアポのコツ-電話編-
架電数を確保する(断られて当たり前)
テレアポ成功の鍵は、十分な架電数を確保することです。「断られるのは当たり前」という前提で、めげずに数をこなしましょう。
1日100件の架電を目標にするなど、具体的な数値目標を立て、断られても、それは個人的な否定ではなく、単に製品やサービスが相手のニーズやタイミングに合わなかっただけだと捉えます。心が折れそうになったら、一度深呼吸をして気持ちをリセットし、次の電話に集中しましょう。数をこなすことで経験値が上がり、徐々にスキルアップしていきます。
営業電話の雰囲気を出さない
受付突破のコツは、営業電話の雰囲気を出さないことです。例えば、「〇〇様はいらっしゃいますか?」と個人名で尋ねたり、「〇〇についてお伺いしたいことがありまして」と取引先のように振舞ったりするのです。
「〇〇のご担当者様をお願いいたします」と自信を持って言い切るのもよいでしょう。製品について問い合わせている顧客のように振舞い、担当者に繋いでもらうのです。ポイントは、自然な会話の流れを作り、受付の警戒心を解くことです。ただし、信用を失ってしまうので、嘘をついてはいけません。
架電のタイミングを工夫する
架電するタイミングとしては、一般的に、午前10時〜11時半、午後2時〜4時半が最適な時間帯とされています。相手が忙しい、あるいは対応できない可能性の高い、月曜日の朝や金曜日の午後、昼食時は避けましょう。
また、業界特有の繁忙期や閑散期も考慮に入れます。初回で繋がらなくても、3〜5回程度はフォローアップしましょう。架電履歴を記録し、相手の都合が良さそうな曜日や時間帯を見つけ出すことで、接触率を高められます。粘り強く、しかし相手の都合を尊重しながらアプローチを続けることがテレアポで成果を出すための近道です。
落ち着いたトーンで話す
テレアポでは、落ち着いたトーンで話すことが重要です。急かしたり焦ったりせず、ゆっくりと丁寧に話すことで、相手に安心感を与えられます。声のトーンは普段より少し低めにすると、相手に落ち着いた印象を与えることが可能です。
また、適度な間を取りながら話すことで、相手の理解度を確認しつつ、考える時間も提供できます。緊張しがちなテレアポですが、深呼吸をして落ち着いてから電話をかけ、笑顔で話すことを心がけましょう。相手の話すスピードやトーンに合わせることも、良好なコミュニケーションを築く上で重要です。
要点を簡潔に伝える
相手の時間をもらっていることを考慮し、要点を簡潔に伝えることが重要です。長々と説明すると、相手の興味を失ったり、電話を切られたりする可能性が高くなります。
まず、自己紹介と電話の目的を30秒以内で伝えます。次に、相手のニーズに合わせて、商材の機能や特徴、メリットなどを2〜3点に絞って説明します。専門用語や複雑な表現は避け、誰にでも理解しやすい言葉を使いましょう。相手の反応を見ながら、必要に応じて詳細な説明を加えるなど、柔軟な対応も必要です。
顧客の課題に寄り添った上でメリットを提供する
自社の宣伝ではなく、顧客の課題に寄り添った上でメリットやお役立ち情報を提供することが重要です。まず、業界の一般的な課題や、事前リサーチで得た相手企業の課題やニーズに触れます。
例えば、「最近、〇〇業界では□□が課題となっていますが、御社ではいかがでしょうか?」と問いかけてみるのもよいでしょう。その課題に対して自社の商材がどのように解決策を提供できるか、具体的なメリットを説明します。同じ業界・業種での成功事例や具体的な数字(コスト削減率や生産性向上率など)を挙げると、説得力が増すでしょう。
反論に対して切り返しを行う
相手から反論されたら、うまく切り返しましょう。例えば、「既に他社の製品を使っている」という反論に対しては、「それは素晴らしいですね。ただ、弊社の製品は〇〇の点で特に優れています。比較検討の機会をいただけませんか?」と競合製品との差別化ポイントを強調します。
「忙しいので時間がない」という場合は、「承知しました。では、3分程度でポイントだけご説明させていただくか、詳しい資料をお送りしてもよろしいでしょうか?」と提案するのもよいでしょう。
「上司に相談しないと決められない」という反応には、「分かりました。では、上司の方も含めたミーティングの機会をいただけませんか?」と次のステップを提案します。
ただし、明確に拒否している相手を無理に追いかけるのは避け、電話を切って次の案件に架電するなど、時間と労力を効率的に使うようにしましょう。
断られる理由を自分から作らない
テレアポで成果を出すには、自ら断られる理由を作らないことが重要です。「今お忙しいでしょうか?」といった遠慮がちな切り出しは避け、「お忙しいところ失礼します」と言い切りましょう。相手に断る口実を与えないよう、下手に出すぎないようにするのです。
ただし、一方的な話や押し付けがましい言葉遣いは控え、相手の話をよく聞くように心がける必要があります。「わが社のサービスがお役に立てるかもしれません」といったように、柔らかい表現を心がけましょう。常に相手の立場に立って考え、丁寧かつ誠実な対応を心がけることで、断られる可能性を減らせます。
クロージングで次の行動につなげる
会話の終わりに、明確な次のステップを提案することが大切です。例えば、「詳細な資料をお送りしてもよろしいでしょうか?」や「来週、担当者からご連絡させていただいてもよろしいでしょうか?」といった具体的な提案をします。
アポイントが取れない場合は、「では、1週間後に再度お電話させていただいてもよろしいでしょうか?」と次回のコンタクトの約束を取り付けます。最後に、通話内容を簡潔に要約し、次のアクションを明確にして電話を終えましょう。相手との関係性を維持し、商談につなげられる可能性を高められます。
テレアポのコツ-振り返り編-
事実・解釈・ネクストアクションを記録する
テレアポ後の振り返りで重要なのは、「事実」「解釈」「ネクストアクション」を細かく記録することです。「事実」には、顧客とのやり取りの具体的な内容を記載します。例えば、「製品Aに興味を示したが、予算の問題で導入を躊躇している」といった情報です。
「解釈」では、顧客の反応や雰囲気から感じ取ったことを記録します。「予算の問題と言いつつ、本当の理由は別にありそうだ」といった営業担当者の直感も大切です。「ネクストアクション」には、次に取るべき行動を明確に記します。「2週間後に予算の再確認の電話をする」など、具体的に設定するのがポイントです。これらの情報をチーム全体で共有することで、営業力アップにつなげられます。
KPIを管理する
テレアポの効果を測定し、改善するためにはKPI(重要業績評価指標)の管理が不可欠です。主要なKPIとして、架電数、コンタクト率、アポ率の3つがあります。
架電数は1日あたりの電話をかけた回数で、例えば「1日100件」などの目標を設定します。コンタクト率は架電数のうち、実際に担当者と話ができた割合です。「架電100件中30件接触」なら30%となります。
アポ率はコンタクトできた件数のうち、実際にアポイントが取れた割合です。これらのKPIを日々記録し、週単位、月単位で分析することで、改善点が明確になります。例えば、架電数は多いのにコンタクト率が低い場合、架電のタイミングを見直すなどの対策が考えられます。
トークが上手い人のマネをする
優秀な営業担当者のテレアポを実際に聞く機会を作りましょう。その際、以下の点に注目します。
- 会話の導入方法(例:「お忙しいところ恐れ入ります」ではなく「〇〇についてご相談があります」から話し始める)
- 質問の仕方(例:「御社の課題は何ですか?」(オープンクエスチョン)と「コスト削減は現在の課題ですか?」(クローズドクエスチョン)を使い分ける)
- 顧客の反応に対する柔軟な対応(例:「興味がない」と言われたら「どの点が合わないとお考えでしょうか?」と掘り下げる)
- クロージングの手法(例:「では、詳しい資料をお送りしてもよろしいでしょうか?」と次のアクションを提案する)
これらの要素を自分のトークに取り入れ、練習します。また、録音機能を使って自分のトークを聞き返し、改善点を見つけることも効果的です。上手な人のトークを真似ることで、自然と自分のスタイルが確立されていくでしょう。
ロールプレイングを行う
ロールプレイングは、実践的なテレアポスキルを磨く上で非常に効果的です。以下のステップで定期的に実施しましょう。
- 週1回、1時間程度の時間を設定する
- 2人1組になり、交互に営業担当者と顧客役を演じる
- 様々なシナリオを用意する(例:興味がない顧客、競合製品を使用中の顧客など)
- 良かった点、改善点を具体的に指摘し合う
ロールプレイングの様子を録画し、実際に見ながらブラッシュアップしていくのもよいでしょう。自分の話し方や態度、癖を客観的に観察できます。
組織へフィードバックする
テレアポの成果を向上させるには、個人の努力だけでなく、組織全体での改善も重要です。顧客からのフィードバックを営業組織だけでなく、開発部門にも共有し、製品やサービスの改善につなげましょう。
具体的には、まず顧客の声を週1回程度で定期的に集約します。次に、その情報を営業部門だけでなく、開発部門とも共有し、商材の質を高めていきます。
このサイクルを継続することで、顧客ニーズに合った製品開発が可能になり、結果としてアポの成約率向上につなげることが可能です。また、営業と開発の連携が強化され、組織全体の競争力も高まるでしょう。
まとめ|コツを押さえてテレアポ営業を成功に導こう
テレアポ営業の成功には、準備、実践、振り返りの各段階で様々なコツがあります。精度の高い営業リスト作成、効果的なトークスクリプトの準備、そして適切なタイミングでの架電など、細かな工夫の積み重ねが重要です。最も大切なのは粘り強く取り組む姿勢とポジティブなマインドです。
とはいえ、アポの獲得は簡単ではないので、ノウハウがない場合や成果が出ていない場合は、プロに任せた方がよいでしょう。CLF PARTNERSは単にアポを取るだけでなく、アポ獲得率を向上させるノウハウを提供できます。目先のアポ獲得だけでなく、営業組織全体を強化したい方は、ぜひCLF PARTNERSにご相談ください。
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この記事の監修者
CLF PARTNERS株式会社
代表取締役社長 松下 和誉
大学卒業後、大手総合系コンサルティングファームに入社。最年少で営業マネジャーに就任。中小企業から大手企業まで幅広くコンサルティング業務を実施。また、文部科学省からの依頼を受け、再生機構と共に地方の学校再生業務にも従事。 その後、米Digital Equipment Corporation(現ヒューレットパッカード)の教育部門がスピンアウトした世界9ヵ国展開企業のJAPAN営業部長代行として国内の最高売上に貢献。 現在は関連会社12社の経営参画と支援を中心に、グループの軸となるCLF PARTNERS㈱ではVC出資ベンチャー企業、大企業の新規事業の支援に従事
公式Xアカウント:https://x.com/clf_km